2017 Fiscal Year Annual Research Report
Uniformity of Zeta Functions
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15H03612
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
翁 林 九州大学, 数理学研究院, 教授 (60304002)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 既約群 / ゼータ関数 / 弱リーマン予想 / 算術トーソーの安定性 / Eisenstein 周期 / 幾何的截面 / 解析的截面 / 算術コホモロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年の二月に題名「既約群のゼータ関数とそれらの零点」( ”Zeta Functions for Reductive Groups and Their Zeros” ) の本を執筆が終了し、 World Scientific 社から出版されました。 昨年迄と比較して、主な新しい理論としては、算術曲線上の既約群スキームに関する算術トーソー、その安定性とそれらのモジュロ空間の理論の導入が挙げられる。それと同時に、主な新しい結果としては, まず、2002年 Fields 賞受賞者 Lafforgue 氏の関数体上の群 SL(n) に関する結果を、代数体上の一般的な代数既約群に対し、Arthur(カナダ数学者、元米國数学会会長)の跡公式に用いる解析的截面と数論幾何の安定性を用いる幾何的截面を一致することを証明した。さらに、いわゆる Chevalley 群の翁ゼータ関数に対し、弱リーマン予想を確立した。本書は 6(+1) 部 18(+5)章から構成されており、既約群のゼータ関数の基本理論から最先端のリーマン予想まで、基本定義、性質から時折歴史を混じえつつ、数多くの例を添えた結果, 528+xxvii ページの長大な’マイルストーン'級作品となっている。内容に関して具体的に言うと、主に私のこの十数年の研究を述べつつ、その他の研究者たち、特に鈴木正俊、小森靖、菅原弘太郎、 Kim, Zagier などの研究結果が反映されている。これらの研究はいわゆるファッショナブル数学に対して、著しく独立性を保っており、特独感溢れるものである。これらは数学の新しい豊かな領域を開拓し、数学の生命力を高めるものと自負している。最後に、 本書籍の 6(+1) 部の各題目を述べていく。 第一部 非可換ゼータ関数 第二部 階数2のゼータ関数 第三部 Eisenstein 周期と多重 L-関数 第四部 既約群のゼータ関数 第五部 代数と解析の構造とリーマン予想 第六部 解析の構造とリーマン予想 付録部(菅原弘太郎と) 算術コホモロジー関する 5 つの論文
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Chevalley 群のゼータ関数の弱リーマン予想を確立した。勿論、これを実現するためにはまず、算術曲線上の既約群スキームに関しる算術トーソー、その安定性とそれらのモジュロ空間などの理論の導入を行わなければならず、加えて、Arthur跡公式に用いる解析的截面と数論幾何の安定性を用いる幾何的截面を一致することを証明する必要がある。 歴史を鑑みると、ベクトル束の安定性から群の主束への類似の研究は、この半世紀数学中心に据えるテーマであった。我々が達成した、二つの異なる解析的截面と幾何的截面が同一になることの証明は、二つの異なる目的を達成している。つまり、既約群スキームに関する算術トーソーの安定性に関して放物部分群が持つ役割を、解析的手法を用いて解明している。よって直ちに、半安定算術トーソーのモジュロ空間の体積関するの「放物削減、安定性と体積の予想」を証明することが可能になった。さらに、これらを用いて、キ-ー小森ー鈴木らの結果を Chevalley 群の翁ゼータ関数の弱リーマン予想を確立した。 これらはいずれもこの研究プロジェクトの中心問題で、この十数年長い年月の中追究しており、かつ数学という学問の中で、非常に興味深い結果となっている。五年間のプロジェクトの中、最も重要なテーマと言い換えても過言ではない。自身にとっても、まさか今の地点で得られるものであるとは想像だにしていないものであった。フランス高等科学研究所の Laffougue 氏の力も借りて、大変高名な Atiyah-Bott の名作 「リーマン面上のヤンミルズ理論」の中の、以前は注目されていなかった部分を巧みに利用した結果、 上の弱リーマン予想を確立した。群 SL(n) のゼータ関数の弱リーマン予想、あるいは非可換高次ゼータ関数の弱リーマン予想の確立から、著しい進展を遂げ、後世に残る数学の結果となりうる。無論、これらは数学の新しい豊かな領域を開拓し、数学の生命力を高めるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
Chevalley 群の翁ゼータ関数に対し、弱リーマン予想を確立したわけだが、次に我々は、それらの零点の詳しい性質の研究、さらにこれらを用いて、ほかの数学分野への応用を研究を行いたいと考えている。 例えば、階数 n のゼータ関数、つまり、ゼータ関数の特殊統一性から、群 SL(n) のゼータ関数の零点に対し、ゼータ関数の構造から、まず、各々の零点に応じて、階数 n の半安定格子の付随するトーラスの上に、無限可微分関数を作ることができる。また、トーラスの任意の点に対し、全ての階数 n ゼータ関数の零点に付随無限可微分関数から、無限次元のベクトル空間が生成される。故に、点をトーラスに渡ると、この無限次元のベクトル空間はトーラスの上に一つ無限次元のベクトル束としてでき上がる。更に、半安定格子(の類)をモジュロ空間に変えていくと、上の無限次元のベクトル束は全てトーラスから構成される (半安定格子モジュロ空間上の) ファイブレーション の総スペース上の無限次元のベクトル束になる。我々は来年度この総スペース上の束と上の無限級可微分関数らを様々な観点から研究する。特に、次元 n のベクトル空間の新しい量子化に力を入れる。 理想的な仮説を述べるならば、まず、射影的な接続が総スペース上の無限次元のベクトル束の上に存在し、さらに、自然な計量があって、総スペース上の無限次元のベクトル束はヒルベルト束になり、上の射影的な接続とこの計量の間には互換性があることが予想される。実際のところ、これほどうまくいかない。そのためあくまで、全て半安定格子モジュロ空間から形成された、いわゆる横方向の影響を調べたいと考えている。これは、シータ関数の熱方程式から、Fokker-Planck 方程式までの我々の研究から考察することができると予想している。以上の理由から、我々もこれらの 方程式を詳しく調査し、可能ならば、その付随する確率密度関数とその方面の研究もしたい。
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Research Products
(4 results)