2018 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03616
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮岡 礼子 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 総長特命教授 (70108182)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 等径超曲面 / ガウス写像 / ラグランジュ交叉 / フレアホモロジー / non-displaceability / 等径関数 / 過剰決定系 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は2016年に等径超曲面の分類問題の中で最難関の問題を解決し,Annals of Math. に論文が掲載された.もう一つ残っていた難題は2018年にQ.S.Chiにより解決され,これで分類問題が終結した.これらに関してはこの問題が発生した1917年から100年を経た今日を目指し,努力を重ねてきた.2018年に予定していた国際研究集会は諸事情により,2019年に開催することになっている. さらに等径超曲面のガウス写像の像が複素2次体の極小ラグランジュ部分多様体になるという事実に対して,そのラグランジュ交叉を,フレアホモロジーで記述する研究を行い,大仁田義裕氏,入江博氏,清華大学のHui Ma氏との共同研究で,いくつかの場合を除いて,Hamiltonian non-displaceabilityを証明し,論文はBull. London Math. Soc.に掲載された.これについては2018年のFirenzeにおける国際研究集会で発表を行い,報告集への原稿を提出した.残された場合について現在研究中である. 他方,最近,等径関数を用いて山辺関数を構成したり,熱方程式から得られる過剰決定系の解が存在する領域を等径超曲面で特徴付けるといった新しい研究が行われていることを知った.関連して,等径関数のみたす二つの微分方程式のうちの一方のみを仮定し,もう一方の代わりに境界条件を定めて過剰決定系とした時に,この関数が等径関数になるかという問題に興味をもち,現在研究中である.この問題は北京師範大学のJQ. Ge氏が提示したものであり,Ge氏,WJ. Yan氏らと共同研究を行っている.これについては,2018年11月に福岡大学でおこなわれた研究会で発表し,その報告集に原稿を提出済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上に述べたように,分類問題の解決,ラグランジュ交叉に関する研究の進捗,等径関数に関する新たな視点である過剰決定系からの取り組み,など研究は概ね順調に進展している.一方,OT-FKM型に現れる非等質な超曲面に関してはまだ多くの興味深い課題もあり,今後も取り組みを継続していく.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の一つである等径超曲面の研究が一段落し,その総括としての国際研究集会を2019年6月1日~7日,北京師範大学にて開催予定である.これには多くの研究者が国内外から参加し,最新結果の報告と,今後の研究課題についての研究打ち合わせを行う.特に幾何解析の立場から,等径関数の満たす二つの微分方程式のうちの一方のみを仮定し,もう一方の代わりに境界条件を定めて過剰決定系とした時に,この関数が等径関数になるかという問題を,イタリアのSavo,東北大の坂口茂氏らと議論する.本研究期間中の解決を目指し,研究を行う. 他方,等径超曲面のガウス像の交叉理論について,主曲率の重複度が1の時のHamiltonian non-displaceabilityが成り立つかどうか,という問題が残っている.これについては大仁田義裕氏,入江博氏,Hui Ma氏と引き続き共同研究を行う. 2020年に可積分系の国際研究集会を大仁田氏が企画中であり,その際に報告ができるよう,本年度中に成果を出したい. その他,非等質だが等質にかなり近いと思われる,OT-FKM型等径超曲面に関する,第一固有値問題,Hamilton安定性など未解決な課題に挑戦することを考えている.
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Research Products
(9 results)