2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03630
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 仲夫 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30173016)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Scattering operator / Nonlinear Klein-Gordon / Hartree type / Modified wave operator / NLS systems / Nondecaying final data / Dissipative NLS / Large time aymptotics |
Outline of Annual Research Achievements |
ハートリー型非線形項を持ったシュレデンガー方程式の相対論版であるクライン・ゴルドン方程式の研究を行なった。この方程式はポテンシャルの減衰によって解の性質が2つに分かれることがシュレデンガー方程式の研究によって予想される。我々はポテンシャルの減衰が臨界冪より早い場合(short range potential)に、ある関数空間の原点近傍で解が安定であることを示し、その結果散乱作用素の存在を示すことに成功した。この結果は空間3次元の場合には既に知られた結果であったが、我々は方程式固有の作用素を利用することによって従来の結果を一般次元に拡張した。この成果は既に国際誌に掲載されている。 2次の非線形項を持ったシュレデンガー方程式系を空間次元が2次元の場合に考察した。2次元2次の非線形項は臨界冪と考えられており、解は線形方程式の解と異なる振る舞いをすることが知られている。我々は解の振る舞いを決定するためにどのような条件を初期値に要求すれば良いかに焦点をあて研究を行い、初期値のフーリエ変換が必ずしも無限遠方で減衰している必要がないことを発見した。これにより原点近傍における初期値の特異性条件を改良できたことがわかる。この成果は既に国際誌に掲載されている。 冪乗型非線形項が消散項として働く非線形シュレデンガー方程式の研究を行なった。臨界冪をこえる場合、解は線形解の近傍で安定であること、臨界冪の場合、解は線形解より対数関数のオーダーで時間減衰が早いことが知られている。我々は非線形項の階数が臨界冪未満の場合に焦点をあて考察し、従来の解の時間減衰評価に関する結果を、変数分離型常微分方程式に問題を帰着させることによって高次元の場合に拡張した。さらに非線形項の階数においても従来の結果の改良をおこなった。この成果は既に国際誌に掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨界冪非線形シュレデンガー方程式系の終値問題、冪乗型非線形項が消散項として働く非線形シュレデンガー方程式の時間減衰評価において当初考えていた成果を得ることができた。また臨界冪ではないがハートリー型非線形を持つ非線形クライン・ゴルドン方程式の解の振る舞いを示すことができ、この研究を臨界冪を持つ方程式の研究に発展させている状況である。 臨界冪非線形項を持つ高次元消散型波動方程式の時間大域解の存在は未解決問題として残されたものである。我々は重み付き関数空間を利用することによってこの問題を解決した。この結果は査読付き国際誌に投稿中である。また臨界冪非線形項を持つ高次分散型方程式の研究を行い、成果を論文としてまとめている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
臨界冪非線形項を持つ高次分散型方程式の共同研究を海外共同研究者 Naumkin, Kaikina と継続して行う。また非線形シュレデンガー方程式系の共同研究をを海外共同研究者 李 と継続して行う。講演を通して研究成果を内外に発信することに務める。専門家との意見交換を積極的に行うことにより成果の評価を客観的に把握し研究にいかす。
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Research Products
(15 results)