2017 Fiscal Year Annual Research Report
超広帯域同時分光器の開発:系外惑星大気の精査に向けて
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15H03648
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
塩谷 圭吾 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (40392815)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 系外惑星 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、太陽系外惑星(以後、系外惑星)大気の分析という長期目標を見据え、そのための分光素子を開発実証する。ここで、系外惑星大気の分析のためには、一般に検討されている複数の方式のうち、トランジット法による観測に適用することを想定する。いわゆるトランジット法のためのミッションには、多数の系外惑星を検出することを目指すミッションと、既知のトランジット惑星を精査する宇宙望遠鏡ミッションが考えられる。本研究で想定するのは後者の用途である。また、本研究では宇宙望遠鏡に適用することを想定する。その理由は、高い安定性が期待できること、地上からは観測が困難な波長域にある大気の分光的特徴を観測可能であること、等である。より具体的には、地上望遠鏡では高精度の観測が困難な波長域に、系外惑星大気を特徴づける各種の吸収線が存在するからである。
本研究における開発は、そのような系外惑星観測の要となる、分光素子を実現するため、材料選定、加工法の最適化から行った。基礎的な段階においては、時間や費用を効率的に利用するため、小片サンプルを製作した。小片サンプルは、数ミリから数センチのサイズを持つ。得られたサンプルの微小な表面構造を評価した。より具体的には、顕微鏡型干渉計 (ZYGO/NewView)、原子間力顕微鏡 (AFM) 等を用いて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成 29 年度までの研究によって、ブレーズ型回折格子による分光素子が有効であり、かつ、有意な実現性を示すことができた。具体的には、小片サンプルでの試作を行い、加工条件出し、表面の微細形状の評価などで成果を得ている。
また、ブレーズ型回折格子と比較対象となる、ラミナー型回折格子による分光素子についても、ブレーズ型回折格子を製作した場合とできるかぎり同じ条件で試作、評価を行った。その結果、どちらの製作も成功裏に完了し、回折効率を測定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の予算は総額 50 万円と、比較的少額であるが、主に以下の用途に有効活用する。
(1)分光素子を含む観測装置の概念設計:本研究では、これまでに、系外惑星のスペクトルを観測的に取得するための要となる分光素子の開発研究を行ってきた。今年度は、これまでの成果を受け、分光素子を含む観測装置の概念設計を行う。観測装置は、宇宙望遠鏡に搭載することを想定する。観測装置の設計で考えられる方針は、まず、望遠鏡が集光・収束させた光を、スリットを通過させることで分光可能にする。次にコリメート光学系で平行光に変換する。得られた平行光に分光素子を適用することで、分光分散を実現する。分光分散の後置光学系によって、2次元アレイ検出器上に再結像させる。コリメート光学系、再結像光学系は、波長依存性を生じさせないようにするため、レンズ・屈折光学系ではなく、主に鏡による反射光学系によって構築する予定である。合わせて、性能を補完・改善するため、部分的にレンズ・屈折光学系を導入することを検討する。ダイクロイックミラーを適用することで、複数チャンネルでの広帯域にわたる同一天体・同時観測を実現する。設計では、観測波長、スリット幅、2次元アレイ検出器のピクセルスケールの組み合わせを適正化することが重要であり、これを行う。その際には、望遠鏡の口径、搭載衛星の姿勢制御・指向性制御の精度なども考慮する。反射鏡光学系の設計においては、宇宙機特有の重量・体積の制約に対応するため、炭化ケイ素系の高剛性材料および金属の裏面刳り貫き構造を設計する。
(2)学会発表・文献発表など:本研究の成果を学会などで発表する。また、論文、収録など文書としての発表を目指す。
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