2015 Fiscal Year Annual Research Report
実用化に向けた高速粒子線CTの開発による粒子線治療の高度化と効率化
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15H03656
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
川崎 健夫 北里大学, 理学部, 教授 (00323999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉川 卓司 新潟大学, 研究推進機構, 准教授 (60282985)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん治療 / 粒子線CT |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで進めてきたシリコン位置測定器と高速データ収集システムの開発をさらに進め、高い位置分解能を維持しつつ、データ収集の高速化により実用化を見込んだ短時間で粒子線CT撮像を行うことが本研究の目的である。 シミュレーションにより、シリコン測定器本体の物質量が画像解像度を悪化させることが判っている。そのため、これまでの片面型から両面型の検出器を導入して物質量を半減させることを試みた。その際、読み出しチャンネル数が劇的に増加することを避けるために、比較的粗いピッチ(~3mm)の両面型検出器を選定した。回路系と組み合わせるためにアッセンブル仕様を決定して製作した。業者よりの納品は8月に行われた。また、導入した両面型検出器はバイアス電圧のノイズに弱いことや、読み出し回路系が複雑になることが短所である。そのためバイアス電圧供給部を含めた回路について、ノイズ軽減のための改良を進めた。 開発したシリコン検出器読み出しボードは、雑音状態や線源によるテストでは問題ないが、粒子線ビームによるテスト環境において、出力が頻繁に発振してデジタル出力が常にオンとなってしまう状況が頻発することが判明した。これは読み出しに用いるLSIが高ゲインであり、フィードバックにより信号が増大することが主な理由であった。そのため、LSIの直後にアイソレータを入れて発振を防止することを試み、2種類のアイソレータ(オプトカプラ・キャパシタ)でテストを行った。 データ収集用計算機の直上流のFPGA(論理プログラムLSI)について、内部ロジックを見直して並列化することにより、多チャンネルを高速で読み出せるプログラムを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
開発したシリコン位置測定器の性能を評価するために、放射線総合医学研究所において粒子線ビームを用いた測定テストを行ったが、ノイズ・放射線源を用いて測定した場合と比較して、出力の発振が非常に多く発生することが判明した。これは、読み出しLSIが非常に高ゲインであることや、下段の配線長が長くなり寄生容量が増えることが原因であると考えられる。読み出し回路の大きな設計変更はLSIの仕様から難しく、対応策の検討に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で述べた発振を減らすことが重要であるため、対応策として回路からデータ収集を行う計算機の間に、電気的なアイソレータを導入することを検討した。2種類のアイソレータについて周波数特性や波高値の線形性などを評価したうえで、読み出し回路の下流に加える。 この対応で発振の問題が解決できれば、28年度中に再度ビームテストを行う予定である。解決できない場合には、LSIの選定し直すことを含めて、読み出し回路の全体的な見直しが必要となる。
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