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2016 Fiscal Year Annual Research Report

Dynamics of lipid bilayer membrane induced by external stimuli

Research Project

Project/Area Number 15H03708
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

谷口 貴志  京都大学, 工学研究科, 准教授 (60293669)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywordsソフトマター物理学 / 脂質膜 / 自発曲率 / 計算物理
Outline of Annual Research Achievements

28年度は前年度に構築した局所的刺激と大域的刺激の膜のダイナミクスに関する方程式に基づいて数値計算による研究をすすめた.
局所的刺激による膜のダイナミクスに関しては,脂質二重膜の外膜に存在するグリコシルホスファチジルイノシトールアンカー型受容体(GPI) がラフト形成に及ぼす影響を考え,ラフト構成脂質(A成分)とそれ以外の脂質(B成分),そしてGPI(G粒子)の3成分からなる系を考えた.まずは,1個のG粒子だけが存在する場合のG粒子近傍の組成の変化にしらべた.膜は,現実の状況を模して,脂質の組成に関して一相状態を設定してるため, G粒子近傍においても短い時間スケールでは平均の組成の値の付近でランダムに揺らいでいるが,長時間の平均としてはG粒子と親和性のあるラフト構成脂質(A成分)が集まることがわかった.次に2個のG粒子間に働く相互作用に調べた.G粒子間には直接的な引力相互作用は存在しないが,平均値近傍で激しく揺らいでいる脂質の組成場を介して,引力相互作用が働くことが分かった.
大域的刺激に対する膜の応答ダイナミクスに関しては,膜外の化学物質の濃度場のダイナミクスと膜の変形ダイナミクスとを同時に扱い易い,曲率弾性モデルを拡張して, 膜外のイオンの拡散と自発曲率の局所的な変化を関係付けたモデルを構築し, ミトコンドリア内膜で生じているtube 状の変形(クリステ) を単純な系で再現したFournierらの実験系に対応する数値シミュレーション(2D)を行った.その結果, 先行実験で観察されたtube 状の変形を再現することに成功した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

28年度は,局所的な刺激に対する膜の応答を扱う問題では,リガンドと結合した受容体のダイナミクスを調べる計画をしており、1粒子,及び,2粒子のダイナミクスに関しては,計画通りに進めることできた.多数の受容体のダイナミクスに関しては,シミュレーションは行えているものの,複数の会合体が近接していた場合のクラスターサイズの決定方法や,クラスターの寿命決定に関しての判断基準(例えば,どの程度の距離でどの程度の時間離れていたら会合体として壊れたと判断するか)についての十分に吟味するために時間がかかっており,当初予定してた会合した受容体の会合数頻度分布や会合体の存在時間について解析が十分に行えていない.
また,大域的刺激に対する膜の応答ダイナミクスについては,前年度すすめたPhase-Field法に基づく数値計算法が,この問題の計算方法としては非常に適合性がよいことが分かってきた.それで,この方法を用いた数値計算を行い(2次元のシミュレーションではあるが),実験で観測されている膜変形と同様の変形を再現することができた. このように,おおむね当初の計画どおり研究を進められている.
以上のように,大域的刺激に対する膜のダイナミクスに関する研究の方は,当初の計画通り進められてきているが,局所的刺激に対するダイナミクスの研究については,解析について計画していた内容の一部が完了していないため,やや遅れ気味であると判断した.

Strategy for Future Research Activity

平成29年度は最終年度として,前年度までに開発と改良を行った数値計算プログラムを基に広範囲なパラメータ値を用いて「局所的刺激」,「大域的刺激」のどちらに対しても大規模な数値シミュレーションを行う.
局所的刺激による膜ダイナミクスに関しては,前年度に計画していたが研究進展が若干遅れている部分「リガンドと結合した受容体の膜上拡散と会合・解離のダイナミクスの解析」があったので,この部分の遅れを取り戻すべく力を入れていく. 一方,大域的刺激に対する膜の応答ダイナミクスに関しては,変形できる格子を用いた方法よりも,Phase-Field法を用いる方法が,この問題の計算方法としては非常に適合性がよいことが分かってきたので,この方法を数値計算の中心に据えて研究を進める.そして,この方法を用いて多成分脂質膜の変形と膜外の物質場の流動拡散現象,静電場の効果を合わせて解き,それらの結合を考えることで大域的刺激による膜組成分布への効果を調べる.
また,膜外刺激と膜のダイナミクスという観点から,他の問題にも取り組む.
最終的に,行った数値計算結果と実験結果と比較を行い,本研究で構築したモデルの意味を総括する.また,生体膜への局所刺激と大域的刺激に対する応答の観点から「受容体へのによるラフト形成と解消」と「化学物質場による膜の大変形」の機構を物理の視点から明らかにする.同時に外部刺激が多成分膜に及ぼすに影響とそこに内在する普遍的な物理について抽出を行い,生体膜が示す多様な膜構造形成動力学を物理の観点から明らかにする.そして,成果を国内外の会議で発表し,最終的に論文としてまとめる.

  • Research Products

    (5 results)

All 2017 2016 Other

All Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] Hydrodynamically synchronized motion of externally driven colloids2017

    • Author(s)
      Takashi Tangiuchi, Kosuke Teshigawara , John Molina , Ryoichi Yamamoto and Norihiro Oyama
    • Organizer
      APS March Meeting 2017
    • Place of Presentation
      New Orleans, USA
    • Year and Date
      2017-03-13 – 2017-03-17
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 二成分脂質膜上で崩壊と形成を繰り返すドメインと受容体の会合の相関2017

    • Author(s)
      加藤祥太, 谷口貴志
    • Organizer
      第七回 京都若手ソフトマター研究会
    • Place of Presentation
      京都大学
    • Year and Date
      2017-03-08 – 2017-03-08
  • [Presentation] Dynamics of the lipid bilayer membrane induced by an external stimulus2017

    • Author(s)
      Kosuke Teshigawara and Takashi Taniguchi
    • Organizer
      The 12th International Workshop for East Asian Young Rheologists
    • Place of Presentation
      Pattaya, Thailand
    • Year and Date
      2017-02-08 – 2017-02-11
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 非対称脂質膜のダイナミクスと上皮組織のシミュレーション2016

    • Author(s)
      谷口貴志, Antti Lamberg, 小西剛嗣, 山本量一
    • Organizer
      京都大学 高等研究院生体医工学研究部門, 先端医工学研究ユニット 研究発表交流会
    • Place of Presentation
      京都大学
    • Year and Date
      2016-04-20 – 2016-04-20
  • [Remarks] Outreach (研究成果の紹介)

    • URL

      http://www-tph.cheme.kyoto-u.ac.jp/p/taniguch/Activity/Outreach.html

URL: 

Published: 2018-01-16  

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