2016 Fiscal Year Annual Research Report
階層的静的・動的ヘテロジニティの制御と新奇トポロジカル相転移の創生
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15H03709
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 潤 京都大学, 理学研究科, 教授 (10200809)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 揺らぎ顕微鏡 / 動的不均一 / 配向揺らぎ / トポロジカル / 相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的である「階層的トポロジカル相転移と静的・動的ヘテロジニティ」の本質に迫るために、本年度は下記の2つの項目を研究した。 1.アクティブDDSシェル 研究代表者は、マイクロフルイディクスという方法を用いて、100μm以下の液晶核や液晶殻を持ったエマルジョンを水中に分散させ、微小球のコレステリックレーザ―球の作成に成功している。この技術を応用して、まずはラメラ―穴あきラメラ転移を持つ液晶エマルジョンを作成し、エマルジョン上での相転移を確認することを試みた。薬物の代わりに、疎水性・親水性の環境で発光スペクトルの変化する蛍光色素分子を用いて、液晶エマルジョンから水中への放出をテストした。 2.揺らぎ顕微鏡 相転移や相分離にともなって物質の対称性は低下し、低温側の秩序相では様々な内部構造が現れる。ソフトマターでは液体と固体の様々な中間状態が存在し、物質の多様性に富んでいる。この内部構造とは、濃度・密度・秩序場・歪場など、さまざまな熱力学変数の空間変化と関係し、試料中に屈折率の空間不均一性を作る。一方、ガラス・ゲル・臨界液体・過冷却液体といった仲間は、液体と同じ等方的な対称性を有し、静的には物質内は一様で空間不均一性がなく、光学顕微鏡では内部構造や物性の本質を明らかにすることができない。これらの物質では「動的不均一性」と呼ばれる「動的構造」が、本質的重要な役割を担うことが最近の理論的研究から判明してきた。代表者は、挑戦的萌芽研究において、物質中の動的な不均一性を像として得る「揺らぎ顕微鏡」の原理を提唱し、試作機を作成、原理の証明を試みた。本研究構想における今年度は、試作された装置を用いて、コロイド溶液の希釈過程を実時間で観測して、動的な不均一性の可視化を確認した。また、液晶-液晶高分子混合系を用いて、配向回転運動のガラス化現象の解明に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、色素の励起波長の選定に時間を費やしていたが、今年度は選定した色素と励起用の波長可変装置を用いて適切な光刺激を印加できることを確認して、概ね研究は順調にす進んでいる。揺らぎ顕微鏡の項目についても、マスクされた液晶試料、コロイド溶液の混合過程、液晶ゲルのゾル‐ゲル転移点近傍での温度依存挙動など、動的不均一性のモデル的な物質系を順次観察・研究することで、動的不均一性の画像化、さらには動画化についての具体的な成果が出つつある。今後は、ガラス転移やゲル状態など、動的不均一性についての未知の物性を観察・研究して成果を収集したい。このように研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
揺らぎ顕微鏡の項目では、ガラス転移温度近傍から離れた温度での挙動を観測するために、カメラのフレームレートの向上が必要となっている。カメラの画素をビニングすることで、空間解像度を落とすことで、時間軸分解能を確保することを試みている。また高分子の重合度や粘度を最適化することでも同様の改善の努力を行っている。また、過渡的な変化を追跡するために、大量の動的空間像を動画のように記録するため、各画素の動的相関を高速に計算する必要があるが、これについては、ソフトのアルゴリズム改善による努力を行うことで達成できると考えている。
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] Slippery Interfaces2016
Author(s)
Jun Yamamoto
Organizer
6th Workshop on Liquid Crystals for Photonics
Place of Presentation
Jpzef Stefan Institute, Ljubljana, Slovenia
Year and Date
2016-09-14 – 2016-09-16
Int'l Joint Research / Invited
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