2015 Fiscal Year Annual Research Report
珪長質火山活動の開始とその噴火様式の支配条件の解明:高結晶度マグマの流動・固化
Project/Area Number |
15H03714
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥村 聡 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40532213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小園 誠史 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40506747)
栗谷 豪 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80397900)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高結晶度マグマ / 爆発的噴火 / マグマレオロジー / 脱ガス / 発泡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高結晶度マグマ中の気泡形成と脱ガス過程,そしてそれらのマグマレオロジーに対する効果を明らかにすることで,珪長質火山活動の爆発性を支配する要因を明らかにすることを目的としている.そのために,高結晶度マグマ中での気泡形成を実験的に再現し,また気泡を含むマグマのレオロジーを定量化することを目指す.本年度は気泡形成を再現するために水熱合成自動減圧装置を導入した.この装置は,減圧速度・減圧量を任意にコントロールできる減圧制御ユニットを備えている.本年度行った予備実験によって,珪長質マグマだまりを再現した800℃,100MPaという条件から20MPaまでの等温減圧を数秒から数日という幅広い時間スケールで可能であることが確認された.この実験システムの注目する点は,幅広い減圧率・減圧量範囲において減圧率を一定に制御できる点,自動制御であるため長時間の減圧実験も可能である点である.出発物質の準備や予備実験を終了し,来年度以降,この装置を用いて高結晶度マグマ中での気泡形成過程を明らかにする.本年度は,放射光X線を用いた変形その場観察用の変形試験の作製も開始した.この実験システム(X線透過法・コンピュータ断層撮影法(CT))を用いることで,高温封圧下での高結晶度マグマの流動を直接観察できる.ここで作成する装置は従来使用していた変形試験よりも小型化し,また圧力を支えるフレーム内に電気炉と回転ステージを設置することで完全な3次元観察を可能とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り水熱合成自動減圧装置を導入し,本研究課題の目的を達成可能であることが確認できた.予想よりも幅広い範囲での減圧率が達成可能であることは,当初の予定よりも大きな進展である.ただし,装置の納入が遅くなり実際の実験を開始するには至らなかった.一方で予定を早めて変形試験機を作成開始できた.変形試験機をSPring-8のビームラインに設置する試験も終え,次年度以降の実験の準備は完了した.以上から本研究はおおむね予定通り進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
実験装置の作製、試験などが終了し、今後は実際の実験を中心に進める.また、実験試料の化学分析を進めることで、脱ガスのメカニズムの検証を進める。火道流モデルの構築は順調に進んでおり、実験・分析結果と統合し、噴火開始条件の解明へ向けて研究を進める。成果は学会や論文で発表する.
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Research Products
(5 results)