2015 Fiscal Year Annual Research Report
炭素・水素同位体比の精密観測による大気中のメタン濃度変動の研究
Project/Area Number |
15H03722
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森本 真司 東北大学, 理学研究科, 教授 (30270424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 周司 東北大学, 理学研究科, 教授 (00183129)
後藤 大輔 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (10626386)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 温室効果気体 / メタン / 同位体比 |
Outline of Annual Research Achievements |
1,国立極地研究所に新たに設置された連続フロー式ガスクロマトグラフ・燃焼炉・質量分析計(GC-C-IRMS:MAT-253)の大気試料濃縮部の改造と分析シーケンスの最適化を行った。その結果、100ccの大気試料を用いた場合にメタンの炭素同位体比を約0.06パーミルの再現性で分析可能な分析システムが完成した。 2,東北大学に設置されている連続フロー式ガスクロマトグラフ・熱分解炉・質量分析計(GC-P-IRMS:MAT-deltaPLUS)について分析シーケンスの調整を行った。装置の安定性に一定の向上は見られたが、更なる調整が必要である。 3,北極域4地点(スバールバル諸島ニーオルスン、カナダ・チャーチル、ロシア・スルグート、北太平洋)での大気採取法によるメタン濃度とメタン炭素水素同位体比の時系列観測を維持すると共に、西太平洋を航行する民間コンテナ船上及び南極昭和基地で採取した大気試料の分析を行い、それぞれ高精度観測データを得た。また、同位体比分析値の連続性を維持・確認するために、同位体比用標準ガスの検定値を見直し、これまでに得られた炭素同位体比分析値について必要な補正量を求めた。 4,ニーオルスンとチャーチルにおけるメタン濃度、メタンの炭素・水素同位体比観測データの解析を開始した。観測された季節変化から大気中のCH4、13CH4及びCH3Dの収支式を解くことにより、それらの季節変化の原因が微生物・湿地起源CH4放出量の季節変化に起因していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画初年度に計画していたメタンの炭素同位体比分析用質量分析計の改造に成功し、所期の分析精度を達成したこと、さらに、北極域・西太平洋域・南極域で定期的に採取される大量の大気試料を遅滞なく分析するためのワークフローを確立したことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
北極域・西太平洋域・南極域で定期的に採取される大量の大気試料の高精度分析を継続し、世界的に見ても不足しているメタン濃度・同位体比の時系列データを着実に蓄積する。また、得られた時系列データの解析を行い、大気中メタン濃度の変動原因についての考察を進める。3次元大気化学輸送モデルによるメタン同位体比のシミュレーション結果との比較研究を推進する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Development of an atmospheric N2O isotope model, optimization procedure, and application to source estimation2015
Author(s)
Ishijima, K., M. Takigawa, K. Sudo, S. Toyoda, N. Yoshida, T. Röckmann, J. Kaiser, R. G. Prinn, S. Aoki, S. Morimoto, S. Sugawara and T. Nakazawa
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Journal Title
Atmos. Chem. Phys. Discuss.
Volume: 15
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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