2015 Fiscal Year Annual Research Report
固体内部におけるレーザーアブレーションモデルの創成
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15H03760
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 進 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (20356786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三尾 典克 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (70209724)
栗村 直 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 環境エネルギー材料部門 光・電子材料 ユニット, 主幹研究員 (10287964) [Withdrawn]
轟 眞市 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主席研究員 (40343876)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レーザーアブレーション / 光絶縁破壊 / 励起状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
連続レーザー光は,光通信やレーザーディスプレイなどで広範囲に利用されている.近年,高出力化に伴い,光ファイバーや非線形光学結晶などの固体(誘電体)内部における光絶縁破壊が顕在化し,通信の大容量化や装置の高出力化・小型化の障害となっている.本研究の目的は,光絶縁破壊がトリガーとなり,誘電体内部を発光しながら破壊が伝播する状態を固体内部におけるレーザーアブレーションによって発生したプラズマと見なし,その発生および維持・伝播機構を理解することである.このアブレーションは高出力連続レーザー光が創る誘電体の励起状態からプラズマ状態への遷移によって生じると考え,その状態間の遷移機構を解明する. 本研究では,前述した目的を達成するために,高平均出力連続光が誘電体を透過する状況下で,アブレーションによって誘電体がプラズマに遷移する過程を記述するモデルを構築する.構築したモデルによって現象に潜む普遍性を解明する.そのモデルは,誘電体におけるレーザー光吸収から光絶縁破壊によってプラズマ生成までを記述するメゾスコピックなスケールの状態間遷移を記述するkineticモデルとアブレーションプラズマの空間的伝播を記述するマクロな流体モデルを結合することにより系全体を記述する. 本年度は,誘電体に対して価電子帯と伝導帯間遷移による電子,ホールおよび励起状態の生成・消滅を取り扱う詳細なKineticモデルを提案した.Kineticモデルで用いる未定の反応速度等は,過去に行われた実験データを再現することにより決定した.熱伝導モデルを用いることで結晶中での温度上昇を予測した.また,光学特性の精密測定および温度計測のための準備を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
誘電体に対して価電子帯と伝導帯間遷移による電子,ホールの生成・消滅を取り扱う詳細なKineticモデルの構築において,励起状態を3種類に分類し,電子,ホール,励起状態間の遷移を考慮し,未定の反応速度等を決定することにより,過去に行われた実験データを再現することができた.そのKineticモデルによってレーザー吸収エネルギーを評価し,熱伝導モデルを結合することで,結晶中での温度上昇が予測できるようになった.
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Strategy for Future Research Activity |
プラズマへの遷移過程に励起状態の特性が重要な役割を果たすことが,Kineticモデルを用いた今までの研究によって示すことができた.このKineticモデルは,通常のガスプラズマにおける準安定状態を記述することも当然できるので,このプラズマ維持機構を説明する研究へのモデルの展開も考慮する.
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Research Products
(4 results)