2015 Fiscal Year Annual Research Report
電気二重層の実験的シミュレーションによる界面水の構造とダイナミクス
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15H03763
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中村 将志 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70348811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 理 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30343156)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電気二重層 / 超高真空シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
固液界面における水分子は,表面への吸着やイオンの水和など多様な構造をとり,プロトン移動媒体としてや電極触媒反応において反応生成物となるなど多様な役割も果たしている。界面でのイオン種の構造や動的挙動の理解が進んでいるが,固液界面の水分子に関しては水素結合形態を含めた構造や電極電位との相関など不明なことが多い。本研究では,真空中または準大気圧下での精密な電極界面モデリングおよびin-situ観測の新規手法を組み合わせ多面的なアプローチにより,界面水の構造と動的挙動の解明を目指す。 真空シミュレーションについては、表面での水分子の拡散を抑制するために極低温冷凍機、低速電子回折装置および赤外分光装置を備えた超高真空装置を組み上げた。これまでに電気二重層内のイオン分布がよくわかっているCsBr溶液中のAg(100)について、真空中での再現実験を試みている。Ag(100)表面上に水分子を吸着させると、低被覆率ではダイマーを形成し、さらに被覆率を増加するとice-like構造へ変化していくことがわかった。今後、電解質成分を共吸着し水分子の構造変化を追跡していく。 in-situ観測については、低波数領域まで測定可能な赤外分光装置の改良を行った。また、時分割X線回折およびステップスキャン法を用いた時分割赤外分光法によりイオンの脱水和過程を追跡した。イオンが吸着する場合には、水和殻の存在により一時的に外部へルムホルツ層に集まる準安定構造を形成することが明らかとなった。水和殻の崩壊時間がイオンの種類によって異なっており、真空シミュレーションで詳細な水和構造を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In-situ観測については、当初の計画どおり、ステップスキャン測定や時分割X線回折法による水和イオンの吸着過程が観測可能となっている。真空シミュレーションについても、真空装置の組み上げが終わり、赤外分光測定が可能となっている。水和イオンの導入装置も設置しており、電解質成分との共吸着実験を進めていき、in-situ条件の再現実験から詳細な水分子の動的構造変化を明らかにしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
超高真空シミュレーションでは、水の脱離を防ぐため試料を低温にしている。このため、実際の電極界面(特に電極から離れた場所での水和イオンなど)を再現できない可能性もある。そこでチャンバー内へ水分子を導入し準大気圧、かつ試料温度も室温程度にし電気化学測定に近い条件でのシミュレーション実験を行う予定である。また、水の水素結合状態を明らかにするためにO K-NEXAFS測定にも取り組み予定である。
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Research Products
(4 results)