2016 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟性遷移金属集積体の3次元構造制御に基づく機能性発光材料の開拓
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15H03796
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
直田 健 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20164113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川守田 創一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00708472)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 固体発光 / 分子集合 / パラジウム / 白金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「柔軟性遷移金属錯体の3次元構造制御に基づく機能性発光材料の開拓」として3次元集積状態を制御した遷移金属錯体の設計、合成と応用を目指して研究を実施してきた。特に、遷移金属錯体のd-π共役を利用した剛直性と柔軟性の制御を基本の概念として、機動的な3次元構造を機能性材料の性質への発展として、高輝度発光体の創成や、高圧や超音波などの外的要因を用いた発光性のON-OFF制御などを目指している。 研究を遂行するための遷移金属錯体のプラットフォームとして、ビス(サリチルアルジミナト)パラジウム錯体や白金錯体を選び、さまざまな3次元構造を有する金属錯体の合成と物性の発現をめざしている。 本年度においても単核、多核など様々な3次元構造を有する金属錯体の設計と機能性官能基の導入に基づく様々な物性の発現を目指した。その結果、白金配位平面に新たな窒素元素導入による光物性変化や、リンカーにアリール基を導入した新規パラジウム2核錯体のホモキラル分子会合の発現など、様々な「柔軟性遷移金属錯体の3次元構造制御」に基づいた機能性開拓の研究結果が得られ、いくつかの査読付きの国際論文に投稿することができた。 また、最近新たに合成した、機能性発光材料や分子集合能を有する金属錯体群の研究結果は担当する学生を中心に国内外で合計36件の学会発表として発信することができた。今後のさらなる研究の発展につながるような発見もあり、最終的な研究目的の達成の基礎的な検討も行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究はおおむね順調に進展しており、いくつかの査読付き論文として研究結果を報告できた。国内外での研究発表も積極的におこない、研究の発信につとめている。
本年度中に得られた研究結果は、今後進展が大いに期待されるものであり、当初の研究計画を今後達成するための基礎的なデータが得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、発光源となる白金と配位子間の配位構造を革新しうる合成法を開拓する。これまで白金錯体の金属塩とヘテロ原子系2座配位子との反応では、同一の配位子が対面に配位する最安定なhomoleptic錯体 trans-Pt以外の配位形式のものはその不安定性から合成することはできず、heteroleptic錯体の合成は配位力が極めて強い炭素結合型錯体に限られてきた。cis 配位に至っては、2座を短くリンクした4座配位子によるサレン錯体以外ではその合成は不可能であった。申請者らは最近 hemilabile な合成中間体を経由する速度論的制御による合成手法によりtrans および cis 配位形式を有する homo およびheteroleptic 錯体の自由な配位子組み合わせによる選択的合成開拓の端緒をつかんでいる。今後の研究では配位形式を自由に合成できる速度論制御の手法を確立し、 これを用いて、配位部位と機能性置換基を自由自在に組み合わせて、多様な発光プラットフォームを創出する。これを基盤にリンカーを駆使して渡環構造、2核洗濯バサミ構造(trans)、ピンセット構造(cis)、多核筒状構造など多様な3次元構造を合成し、それぞれの構造に基づく光物性や集合能の調査を行う予定である。
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Research Products
(41 results)