2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Stereoselective Hydrofuctionalizations
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15H03810
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| Research Institution | Osaka City University |
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Principal Investigator |
西村 貴洋 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50335197)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 不斉合成 / 触媒 / イリジウム / 活性化 / 付加 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
直接的ヒドロ官能基化反応は，反応全体として酸化還元を伴わないため原子効率に優れており，廃棄物の少ないクリーンな環境調和型の反応である．本研究では，遷移金属触媒を使った炭素，窒素および酸素原子の付加を伴うアルケンの立体選択的ヒドロ官能基化反応の開発を目的とし，特に，不斉合成反応への展開を視野に入れた反応開発を行った．
（１）C-H活性化を伴う不斉ヒドロアリール化とヒドロアルキル化反応：N-H結合をもつアゾール基が置換した芳香環のビニルエーテルによるオルト位選択的アルキル化反応が，ヒドロキソイリジウム触媒によって効率よく進行することを見つけた．本反応にはビスホスフィン配位子が必要であり，キラルビスホスフィン配位子を使ってエナンチオ選択的な反応を実現した．配向基として一般的に優れている2-ピリジル基が同一芳香環上にあった場合でも，アゾールが選択的に配向基として働く特異的な位置選択性を明らかにした．一方，３位にカルボニル基をもつ2-アルキルアミノピリジン誘導体のC(sp3)-H結合活性化を経るアルキル化反応がカチオン性イリジウム触媒によって効率よく進むことを明らかにした．
（２）イリジウム触媒による重水によるアルケンのH/D交換反応：触媒量のヒドロキソイリジウム錯体とベンズアミド存在下，末端アルケンやメチリデン基の重水によるH/D交換反応が効率よく進行することを見つけた．この反応系は，他の官能基やベンゼン環状のC-H結合を変換することなく，アルケン部分のみを選択的にH/D交換する優れた方法である．また，D源として重水を用いる反応系である．
（３）イリジウム触媒によるアルケニルアミドの分子内環化反応によるラクタムの不斉合成：イリジウム／キラルジエン触媒および触媒量のアミン存在下，アルケニルアミドの分子内付加反応が進行しγラクタムが高いエナンチオ選択性で得られることを明らかにした．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に対する成果を示す．
（１）炭素－水素結合の付加：C-H活性化を伴う不斉ヒドロアリール化反応に関しては，新たな配向基としてアゾールが利用できることを明らかにし，C-H活性化を伴う不斉反応における触媒系の一般性を広げることができた．本研究成果は学術雑誌に掲載されており，当該分野の最新の研究を紹介するSynfactsにも選ばれている．一方，イリジウム触媒を用いたC(sp3)-H結合活性化を経る効率的アルキル化反応も開発した．
（２）窒素－水素結合の付加：本反応に関しては，分子内不斉ヒドロアミド化反応が独自に開発したキラルジエン配位子をもつイリジウム触媒によって効率よく進行することを明らかにした．本研究成果は学術雑誌に掲載された．
その他，関連する研究の成果として，１）アルケンのH/D交換反応，２）イミン類の不斉シクロプロピル化反応が学術雑誌に掲載された．また，最近の研究をまとめた総説も学術雑誌に掲載された．また，研究成果の一部は学会で１２件発表した．また，招待講演４件では研究成果の一部を講演した．以上のように，当初の計画通りに研究が進んだと判断した．
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| Strategy for Future Research Activity |
炭素－炭素結合形成を含む不斉反応は，まだまだ新しい反応開発が必要であり，引き続き研究する．特に，アルキル基のC-H活性化に関する研究を重点的に行い，不斉反応への展開を目指す．さらに，生物活性物質合成につながる反応開発を行う． 不斉反応実現のための配位子開発にも取り組む．これまでイリジウム触媒を用いた反応に有効であることを明らかにしたキラルジエン配位子を基盤として，新しい配位子開発を行う．
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