2016 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAの量的・質的変動を解析するシステムの構築
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15H03830
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
梅村 知也 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10312901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 英典 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (10635329)
手嶋 紀雄 愛知工業大学, 工学部, 教授 (30292501)
青木 元秀 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (30418917)
リム リーワ 岐阜大学, 工学部, 准教授 (80377689)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | クロマトグラフィー / モノリスカラム / マイクロリアクター / 機能性RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
ncRNAの動態を定量的に評価する分析法の確立を目指し、H28年度は以下の研究を中心に取り組んだ。 1) Ce (Ⅳ) 固定化モノリス型マイクロリアクターによるリン酸エステル結合の切断(加水分解能の評価)及びトルラ酵母由来のtotal RNAの断片化. モノリス担体表層に様々な希土類金属イオンを固定化したマイクロリアクターを試作し、その加水分解能を調査した。p-ニトロフェニルリン酸 (pNPP) を用いてリン酸エステル結合の切断能を評価したところ、Ce (Ⅳ) を固定化したマイクロリアクターでは、反応時間1分で90%以上のpNPPがp-ニトロフェノール(pNP)に分解されることを確認した。続いて、トルラ酵母由来のtotal RNAの断片化を試みたところ、1分程度でほぼヌクレオチドにまで切断され、さらに5分反応させるとヌクレオシドにまで切断が進行することを確認した。なお、核酸塩基由来のピークは観測されなかったことからN-グリコシド結合の切断は起きないことも分かった。さらに、反応時間やセリウムの活性を制御することで、オリゴヌクレオチドまでの切断に留めるといったリボヌクレアーゼ様の選択的な切断の可能性も見出せた。 2) ncRNAをバイオマーカーとして用いる化学物質暴露影響調査に関する基礎研究. 未分化のヒトiPS細胞をフィーダーレスにて培養した後、神経幹細胞へと分化させる技術を習得した。この幹細胞にシクロヘキシミドや過酸化水素、塩化亜鉛、塩化水銀を暴露し、mRNAやncRNAの発現量の変化を定量PCRによって調査した結果、複数種類のncRNAが顕著に増加することを確認した。また、そうしたncRNAのなかには、隣接する遺伝子の発現量に深く関与しているものがあることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年、注目を集めている長鎖(200 nt以上)のncRNAにまで研究対象を拡げるべく、断片化技術の開発を進め、セリウム(IV)触媒を利用したマイクロリアクターに関して興味深いデータを収集しつつある。また、分担研究者の谷らが中心となって、ncRNAをバイオマーカーとして用いる化学物質暴露影響調査に関する研究を進めるなど、当初の計画以上に進展している部分もあり、全体として順調に進んでいると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、化学物質の安全性評価や疾病の早期診断等の実用的な応用を出口として見据えており、要素技術の開発に留まることなく、最終年度はさらにライフサイエンスへの応用を意識して研究を展開していく。特に、本研究では代謝分解を受けやすい短寿命のncRNAに注目し、その発現量や分解速度の違いを基にして、各種疾病に特徴的なncRNAの探索を試みる。
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