2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of chemically reactive molecular switch through hybrid of artificial molecule and biomolecule
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15H03836
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
池田 将 岐阜大学, 工学部, 准教授 (20432867)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノバイオ / ナノ材料 / 超分子化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
水中かつ常温常圧の生体に適用可能な限られた条件下において、分子の機能を意のままに操る化学の創出は、困難で価値のある挑戦である。そのような生体適合性分子化学の成熟は、医薬分子の副作用の低減、新規作用機序の開発、薬物送達の実限など、分子の医療応用において産業的にも学術的にも大きなインパクトを与えると期待される。本研究では、生体適合条件下で利用できる化学反応を開拓し、機能をOFF-ON制御可能な分子スイッチの開発を目指す。具体的には、生体内の特定環境で進行する化学反応によって解除される部位を、生体分子(ペプチドおよび核酸)にハイブリッドすることで、生体関連機能をOFF-ON制御可能な分子スイッチの具現化に挑戦する。 本研究と類似の技術として、光によって分子の機能をOFF-ON制御する優れた技術であるPhoto Cagingも国内外で盛んに研究されている。しかし、治療を主眼とした医療応用においては、分子に自ら考える能力を与えることが重要であり、外部からの入力を必要とするPhoto Cagingに比較して、その場の環境に自律的に応答する本研究の目指す分子スイッチがより合目的である。本研究によって創製されるハイブリッド型分子スイッチは、化学反応性部位を生体分子に導入する申請者のこれまでの研究成果から派生した独創的なものである。近年、生体分子の実用化(特に抗体)が進んでおり、その生体関連機能にOFF-ONスイッチング機構を導入できれば、医薬品の副作用の低減、新規作用機序の開発、薬物送達の実限を可能にすると期待され、特に医療分野において産業的にも学術的にも大きなインパクトを与えると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、特にペプチドに関する研究が進展した。当初から進めていたアミノ酸の側鎖に化学反応性の感覚部位を導入する手法を適用し、単一分子に複数の化学反応性部位をハイブリッドした自己組織性ペプチドを構築した。検討の結果、1分子で複数の刺激に論理応答する超分子ヒドロゲルの開発に成功した。今回開発を進めた新規な分子設計により、従来の分子設計では実現できないナノ材料の開発が可能であることを実証した。さらに、ナノ構造体の刺激に応答した興味深い挙動も見出しており、研究計画に沿った応用が可能であると考えている。核酸に関しては、前年度の折りたたみ構造の変化を機能の変化に発展させる検討を進め、期待どおりの成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
ペプチドおよび核酸のいずれに関しても順調に研究が進展しており、機能の先鋭化を進める。また、実用化を睨み、細胞を利用した実験を随時行っていく。また、生化学的に合成したペプチドおよび核酸に対しても感覚部位(化学反応性部位)を合成後導入できるポスト修飾法の開発を進める。これに関しても、これまでに幾つかの予備的実験を行っており着実な研究の進展が見込まれる。
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