2016 Fiscal Year Annual Research Report
タンデム式超音波乳化法による分散剤フリーナノエマルション創製技術の開発
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15H03843
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
跡部 真人 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (90291351)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グリーンケミストリー / ナノエマルション / 超音波乳化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、界面活性剤や乳化安定剤といった化学的な分散剤を一切用いることなく、周波数の異なる超音波を逐次的に照射するだけで、透明でしかも安定なナノエマルション作製を可能にする新技術「タンデム式超音波乳化法」の開発を目的としている。また、得られた各種ナノエマルションを材料合成のテンプレートへと展開し、機能性材料の創製に繋げるとともに、さらに該技術を基盤としたナノエマルション溶液の連続的な生産システムを構築し、実用化に向けた応用提案を行うことを最終目標に据えている。 本年度(平成28年度)は当該乳化技術により得られた高分子モノマーナノエマルションを用いて、単分散なポリマーナノ微粒子合成に応用した。具体的には、タンデム超音波乳化法を用いることによって、数十kHz単独の超音波乳化処理では得ることが困難な、より微細なモノマー液滴を有するナノエマルション溶液を作製し、引き続く重合開始剤の添加により重合を行った。その結果、狙い通りに粒径が制御されたポリマーナノ微粒子を乳化剤や界面活性剤の存在なしに作製することに成功した。また重合法としては、溶液の昇温によるラジカル重合では、モノマー液滴の凝集が起こってしまうため、常温で重合が実施できる光開始重合を採用することで、モノマー液滴径を精密に反映したポリマー微粒子が作製できることも見出した。さらに現在の超音波工学の技術において作製可能な発振子の最高周波数である5 MHzの超音波を導入し、モノマー液滴の更なる微小化を図り、これを用いて光乳化重合を実施したところ、20 nm程度でかつ単分散なポリマーナノ微粒子を作製することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンデム式超音波乳化法を利用すれば汎用モノマーであるMMAを水溶媒中において20 nm程度の微細な液滴とすることができる。これを重合すれば液滴径を反映したポリマーナノ粒子を得ることが出来ると考えられるが、重合時における凝集によりポリマー粒径に変化が生じてしまった。そのため室温で穏やかに重合を進行させることの出来る光重合法を採用し、所望の課題を達成させることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度からはタンデム式超音波乳化により微細化された導電性高分子モノマー液滴を用いて可視光の散乱がない、高導電性の高分子フィルム作製に取り組む予定である。さらに当該乳化技術を基盤とするナノエマルション溶液の連続的な生産システムを構築し、実用化に向けた応用提案を行う予定である。
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Research Products
(24 results)