2016 Fiscal Year Annual Research Report
Type-Ⅰ/Type-Ⅱハイブリッド型光増感色素を用いた色素増感太陽電池の開発
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15H03859
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大山 陽介 広島大学, 工学研究院, 准教授 (60403581)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 機能性色素 / 光電変換 / 太陽電池 / 光物性 / 色素増感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、酸化チタン(TiO2)電極のブレンステッド酸点とルイス酸点の両方を被覆することができるType-I/Type-II型光増感色素を創製し、広範囲の太陽光を捕集する高効率なType-I/Type-IIハイブリッド型色素増感太陽電池(DSSC)の開発を目的とする。二年目の研究目的と計画は、ピリジル系D-π-A色素とカテコール系D-π-Cat色素を共吸着させたType-I/Type-II型色素共吸着TiO2電極を用いてDSSCを作製し、Type-I/Type-IIハイブリッド型DSSCの性能向上を図ることである。そこで実際に、TiO2電極を浸漬させる色素溶液の溶媒、濃度、浸漬時間、ピリジル系D-π-A色素溶液とカテコール系D-π-Cat溶液に浸漬させる順序、あるいは両色素の混合溶液を使用することで、色素共吸着TiO2電極の作製を行った。その結果、ジピリジル系D-π-A色素YNI-2とカテコール系色素YM-2の混合溶液にTiO2電極を浸漬することで、両色素を共吸着させたTiO2電極の作製に成功した。作製した色素共吸着TiO2電極上の両色素の合計色素吸着量は、それぞれの色素単独での色素吸着量の合計であった。YNI-2とYM-2を共吸着させたTiO2薄膜の光吸収帯は、THF中での各色素の光吸収帯に比べて、長波長領域においてブロード化していた。この結果は、カテコール系色素YM-2とTiO2表面間での強い電子的相互作用により、YM-2のHOMOからTiO2電極の伝導体への直接的な電子注入に由来する長波長領域の光吸収帯の出現に起因している。TiO2薄膜上への色素共吸着は、FT-IR測定からも確認した。このことから、色素吸着量を低下させること無く、本研究課題の目標の一つである色素共吸着法の確立を遂行し、太陽光捕集効率とTiO2電極の色素被覆率の向上を達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、Type-I/Type-IIハイブリッド型D-π-A光増感色素の創製とType-I/Type-IIハイブリッド型色素共吸着TiO2電極を作製し、広範囲の太陽光を捕集する高効率なType-I/Type-IIハイブリッド型DSSCの開発を達成することを目的としている。本研究を遂行するために、申請書の計画通り、二年目に、ピリジル系D-π-A色素とカテコール系D-π-Cat色素を共吸着させたType-I/Type-II型色素共吸着TiO2電極を用いてDSSCを作製した。これまでの研究成果は、国際学会での発表と国際学術誌で公表しており、本研究課題は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を遂行するために、本年度はType-I/Type-IIハイブリッド型D-π-A色素PCt1-4およびType-I/Type-II型色素(P1/Ct1またはPP/CtCt)共吸着TiO2電極の色素吸着量の調整、色素の分子配列・配向性の制御およびICT吸収帯とDTCT吸収帯の強度増大化を図るために、色素PCt1-4および色素共吸着(P1/Ct1またはPP/CtCt)に適したTiO2電極を三つのアプローチ(a-c)により作製する。a) 市販のTiO2ナノ粒子やTiO2ペーストから作製(焼結)したTiO2電極の表面を塩酸、硫酸、三フッ化ホウ素などの酸を用いて処理する。b) 上記a)で作製(焼結)したTiO2電極を真空後、水素ガスを導入することでTiO2電極の表面に水素還元処理を施す。c) TiCl4とアンモニウム塩(cetyltrimethylammonium bromide(CTAB)など) から、TiO2電極を作製し、必要に応じてa)やb)の表面処理を施す。処理時間や酸濃度、水素ガス圧力あるいはTiCl4とアンモニウム塩の混合比の変化に伴う(B)と(L)サイト数は、アンモニア昇温脱離試験(NH3-TPD)から評価する。(B)と(L)サイト数の変化に伴うTiO2電極への色素吸着量と色素被覆率を評価する。(B)と(L)サイト数の異なるTiO2薄膜上に吸着させた色素PCt1-4および色素共吸着(P1/Ct1またはPP/CtCt)TiO2薄膜の光吸収スペクトル、FT-IRスペクトル、ESCA、過渡吸収、過渡光起電圧測定を行い、(B)と(L)サイト数の変化がTiO2電極上での色素の配列・配向性や色素‐TiO2間相互作用とDTCT吸収帯の相関性に及ぼす影響を追究する。
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Research Products
(11 results)