2016 Fiscal Year Annual Research Report
金属触媒を使用しないクリック反応の開発と高分子材料への応用
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15H03863
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
道信 剛志 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (80421410)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高分子合成 / 合成化学 / 環境材料 / 構造・機能材料 / クリックケミストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
ベンゾデヒドロ[12]アヌレン誘導体の合成とアジド化合物との反応を調査し、高分子合成反応へ応用した。1,2-ジエチニルベンゼン誘導体を希釈溶液中、銅触媒存在下で酸化カップリングし、対応するベンゾデヒドロ[12]アヌレン誘導体を得た。可溶性置換基にはヘキシル基およびトリエチレングリコール基を選択して溶解性を確保すると共に、さらに電子求引性のエステル基を使い分けてアルキンの電子密度およびアジドとの反応性を制御した。 前年度に引き続き、得られたベンゾデヒドロ[12]アヌレン誘導体とベンジルアジドの付加反応を詳細に調査した。核磁気共鳴分光法(NMR)を用いた反応追跡により、エステル置換基の方が反応の活性化エネルギーが下がることを明らかにした。この結果は、密度汎関数理論(DFT)計算による各状態エネルギーの差からも支持された。また、エステル置換型のベンジルアジド二付加体は対応するヘキシルオキシ型とほぼ同じ吸収および蛍光波長を示したが、蛍光量子収率は約2倍に向上していた。 ベンゾデヒドロ[12]アヌレン誘導体と一部アジド化ポリ塩化ビニルを均一溶液にした後、室温でキャストして架橋高分子膜を得た。架橋高分子膜の機械強度は架橋剤(ベンゾデヒドロ[12]アヌレン)の添加量と共に増加し、約1重量%で飽和した。さらに、架橋高分子膜は溶液中のアジド二付加体と同等の発光特性を有していた。酸素濃度を変化させて発光強度を測定したところ、酸素濃度の増加と共に発光が減少する傾向を示したためStern-Volmer式よりその感度を見積もった。酸素感度は室温付近ではほぼ温度に依存しないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベンゾデヒドロ[12]アヌレンの反応性に対する置換基効果をほぼ解明したため。さらに、研究を進める中で見出した新しい発光現象を酸素センサーという形で材料化することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
デヒドロベンゾ[12]アヌレンの反応性を制御する新しい観点として異なる環サイズを調査する予定である。それによって本研究を応用研究に発展させる際、適用範囲がさらに拡がると予想する。
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Research Products
(9 results)