2016 Fiscal Year Annual Research Report
超解像単一分子イメージングによって明らかにする高分子ゲルのナノ構造・ダイナミクス
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15H03867
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
青木 裕之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究副主幹 (90343235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 義徳 大阪大学, 理学研究科, 講師 (40379277)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | aa |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は光を用いながらナノメートルスケールの空間分解能を示す超解像蛍光顕微鏡の開発を行い、これを用いて高分子ゲルの内部における網目構造の不均一性および力学特性の分布を明らかにすることを目的としている。前年度において超解像蛍光顕微鏡の基本的なシステム構築とゲルの内部構造の高分解能観察を実現したことを受けて、本年度においてはマイクロレオロジー法による局所的な動的粘弾性評価の実現に力点をおいて研究を遂行した。ゲル内部に50 - 100 nmの蛍光性ポリスチレン粒子を分散した試料を作製し、そのブラウン運動を超解像顕微鏡で追跡した。粒子の位置は超解像法によって20 nmの空間分解能、10 msの時間分解能で取得可能であり、そのブラウン運動の軌跡から複素粘弾性率を評価するソフトウェアの開発もあわせて行った。まずグリセリンを用いた試験測定を行い、角周波数範囲0.1~100 Hzにおいて従来のマクロスコピックなレオメーターと同じ結果が得られ、定量的な評価を行うことができることを確認した。このようなマイクロレオロジー測定システムの構築によって、ポリN-イソプロピルアクリルアミドのハイドロゲルに対して、局所粘弾性の評価を行った。その結果、アクリルアミドゲルの内部は位置によって複素粘弾性率が異なることが示され、最も弾性率の低い領域と最も高い領域では、20倍以上の弾性率の差があることが明らかにした。またこのような粘弾性の空間不均一性はゲルの作製条件に依存することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
代表者の所属機関移籍にともなう実験設備移設によって一定期間の研究遂行の中断を余儀なくされたため、一部の計画に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度においては、試料内部の局所領域に対して定量性の高い複素粘弾性測定が可能なマイクロレオロジーシステムを構築することができた。次年度においては、前年度の広視野超解像蛍光顕微鏡との統合的な測定を実現し、ハイドロゲルの網目構造と、局所粘弾性の同時評価を行うことが可能なシステムを完成させることを目指し、これを用いてアクリルアミド系ゲルに内在する空間不均一性について明らかにする。
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Research Products
(3 results)