2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03883
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小林 隆史 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10342784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 裕義 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90172254)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、各種変調分光を駆使し、有機薄膜太陽電池の動作機構、特にマイクロ秒からミリ秒の範囲におけるキャリア輸送過程を明らかにすることである。これまでの研究から、変調分光法の一種である光誘導吸収測定により、開放回路条件ではキャリアの二分子再結合による寿命が決まり、短絡回路条件では単分子再結合過程に従う何らかの「寿命」が求まることが分かっていた。今回、逆バイアスを印加して光誘導吸収を測定し、さらにインピーダンス分光により求めた走行時間と比較することで、それが走行時間に対応した時間(実際には半導体層の半分の膜厚を走行する時間)であることが確認された。したがってその時間より正孔のドリフト移動度が決定できることも分かった。また半導体層の膜厚依存性の検討からは、一定以上の膜厚になると、走行時間ではなくディープトラップ寿命が求まること、またその境界膜厚が、太陽電池の変換効率が最大となる最適膜厚に近いことが分かった。つまりそれ以上に厚い半導体層では効率的なキャリア取り出しが出来ていないこと、ひいてはそれが最大変換効率を制限する一因であることが分かった。これらの評価を順構造の太陽電池に加え、逆構造の太陽電池についても行い、正孔の流れる向きに依存しないことも明らかにした。 なお、初年度は測定系の改良と太陽電池の高性能化についても取り組んでおり、その結果として上述の研究成果が得られたことを付け加えておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定系の改良やデバイスの高性能化が当初の見込み通りに進展したおかげで、評価に関しても研究計画通りに順調に進展している。例えば、順構造太陽電池と逆構造太陽電池の両方で同程度の変換効率が安定して得られるようになったため、キャリアの輸送方向の影響についても検討できるようになった。以上の理由により、「おおむね順調に進展している」と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を変更しなければならないような事案は特段発生しておらず、当初計画通りに進める予定である。
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