2017 Fiscal Year Annual Research Report
血球バイオメカニクスに基づく微小管網内レオロジーと急性循環障害機序の理解
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15H03915
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坪田 健一 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (10344045)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 微小循環 / 赤血球 / 白血球 / バイオメカニクス / 血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小管路網における血流挙動について,赤血球の力学特性と管形状に着目しながら,マルチスケールバイオメカニクスに基づいて以下の検討を進めた. 1.実血管形状を模した微小多分岐管のPDMS流路を作成し,羊保存血液を作動流体として用いてin vitro血流計測を行った.計測した血流挙動は,流路形状(長さと管径)と動的ヘマトクリットに応じた流動抵抗で説明できることを示した.複雑な流路形状を再現する本in vitro実験と,in vivo実験および計算機シミュレーションとを組み合わせて,それぞれの結果の差分を捉えることで,微小循環の振る舞いの詳細な理解が進むものと期待できる. 2.複数の赤血球を含む懸濁液として血液を捉えて,その流れの力学計算を精密に行うために,高次精度の微分モデルを援用して粒子法の改良を進めた.赤血球について,膜変形と流れとの連成を行った結果,せん断速度や圧力の値を,従来の粒子法より正確に評価できることが分かった.この手法は,局所的な力学状態に応じた血球や血管の表面性状の変化や,それに応じた血球の挙動変化の仕組みを調べるのに,有用であると考えられる. 3.微小2分岐管内における血流の三次元数値シミュレーションを行い,細胞膜の弾性が赤血球の変形および運動に与える影響を調べた.その結果,弾性に応じて分岐部近傍における血球の変形と運動が変化し,それに応じて,血球の管断面内の位置が決まる様子が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計測方法および計算機シミュレーション法の開発が想定通りに進み,それを用いて研究が順調に進んだ.
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Strategy for Future Research Activity |
開発した実験手法および計算手法を洗練させながら,微小循環に応じた生理的および病的な現象の理解を進める.
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