2016 Fiscal Year Annual Research Report
微粒子形成前駆体の生成を削減する新規高効率燃焼システムの開発
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15H03929
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
小口 達夫 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90324491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 和則 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60303707)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 燃焼工学 / 自着火 / ラジカル / 多環芳香族炭化水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
放電プラズマを起源とするラジカルソースにより,内燃機関内部で発生するすす(PM)前駆体の生成・集積を抑制し,さらにそれを燃焼器内に還元して燃焼効率を上昇させる機構を開発する.本年度においては,燃焼過程で生成する小分子を起源とするすすの生成メカニズムに着目し,従来注目してきた芳香族分子を起源とするすす生成との相違や相互作用の影響を検討した.小分子の代表としてアセチレンを用い,生成する中間体を質量分析器により直接的に検出して,既存の反応モデルによるシミュレーション結果との比較により,実験とモデルとの対応関係からその精度を検討したところ,4環程度の多環芳香族炭化水素の生成過程については両者の結果が概ね一致していることが確認できた.このことから,本研究において開発される機構の検討において必要な,内燃機関内部の反応を模擬するモデルの選択およびメカニズムの検討は概ね完了したものと考えられるが,詳細な部分や,本システム開発によいて重要な実際のすす粒子の成長過程・酸化過程のメカニズムについては不明な点も多く,さらに検討が必要である. また,本年度においては,模擬エンジン装置に供給する燃料として,よりPMを生成しやすいと考えられる重質な炭化水素の供給源の開発も行った.本装置は,2流体噴霧機構を軸とし,通常の気泡式気化器では十分に気化されないような燃料についても均一な混合ガス化ができるように設計されている.この装置を用いて,従来用いてきた気泡式気化器による混合ガス化と比較したところ,一定の条件の下では同等の性能を発揮することが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すすの生成メカニズムは現在も多くの研究者が検討している複雑な機構であり,その基礎的な知見を得ることは非常に重要である.本研究では,中間体の生成を質量分析により直接的に観測し,その機構の検証に概ね成功している.そのため,当初の目的に沿ってすす前駆体の生成を削減するメカニズムの検討を行うための筋道はできており,今後さらに発展させることで計画を達成できるものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
すす前駆体の酸化・分解メカニズムは,現在の所ほとんどわかっていない.このことが,あらたな技術開発の妨げになっていることは明らかである.そこで,本研究においては,実験技術的な検討に加え,反応理論に基づいて,すす前駆体の酸化の詳細メカニズムについても今後検討をすすめる.具体的には,量子化学計算を基礎として,多環芳香族炭化水素の酸化過程についての理解をすすめたい.
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