2015 Fiscal Year Annual Research Report
Sliding Mode Filtering Theory for Backdrivabilizing Control of Large-Force Transmission Mechanisms
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15H03938
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊植 亮 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90362326)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 微分包含式 / 摩擦 / 逆可動性 / スライディングモード / フィルタ |
Outline of Annual Research Achievements |
【1】タイミングベルトとボールねじ駆動機構からなる1自由度の実験装置を設計・製作した.この実験装置はアクチュエータとボールねじ機構の間に弾性ベルトが存在し,かつ,ボールねじ駆動部には摩擦がある機構である.比較的小型のモーターで大きな力を発生するために適した機構であるが,摩擦や弾性などため,従来の力制御手法の適用には困難を伴う機構である. 【2】新しい摩擦補償制御手法についての基礎アイデアを得た.「摩擦モデル」をそのまま摩擦補償に用いる従来のアプローチでは,デバイスと制御器内のモデルが同時に静止摩擦状態に陥るという問題がある.この問題を発見した上で,その問題を迂回するための新しい手法を考案した. 【3】研究代表者らが以前提案したスライディングモードフィルタについて,その数学的性質を明らかにするための理論研究を行った.4つのフィルタのうち3つについては重要な着想が得られ,安定性の証明の原型ができた. 【4】以前に考案したロボット関節のためのシステマティックな摩擦力同定手法について,詳細な文献調査と追加の実験・考察を行ったうえで論文を執筆した.この論文はすでに掲載済みである.また,スライディングモードフィルタを用いたPDD2(比例・微分・二階微分)位置制御について,詳細な文献調査と追加の実験・考察を行った.さらに,これをアドミッタンス制御に適用した場合に安定性が向上する効果についても追加の考察を行った,これらのそれぞれの成果についても,学術論文を投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に雇用予定であった外国人学術研究員が諸般の都合により急遽帰国することになり,繰越申請をおこなった.それに伴う遅れは,平成28年度に入ってからおおむね取り戻すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
【1】新しい摩擦補償制御則について,その諸性質を実験によって明らかにするとともに,理論的な解析を行う.この制御則は,既存の摩擦モデルをそのまま用いるのではなく,付加的な項によって静止摩擦状態における応答特性を改善したものである.その付加的な項はスライディングモード理論から着想を得たものであり,それの理論的解析のためには,非平滑システム特有の理論体系を再構築する必要がある. 【2】摩擦モデルに付加的な項を加えること静止摩擦状態での振る舞いを修正するというアイデアを用いて,外力推定の手法を確立する.装置の摩擦力は制御性能を低下させるが,一方で,外乱によって装置が不要に揺動するのを防ぐ効果もある.そのため摩擦補償を伴わない外力推定手法にも多くの有用な応用が考えられる. 【3】上記と並行して,研究代表者らが以前提案したスライディングモードフィルタの数学的性質を明らかにする.このフィルタもフィルタ自体が非平滑な動的システムであり,また,入力の変動によってスライディング面が変動する.このことに着目した理論解析を行う.
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Research Products
(1 results)