2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03948
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陳 勇 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (70512458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 一成 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (40362537)
劉 莉 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (50380093)
柴 祐司 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (70613503)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノファイバー / 幹細胞 / 心筋組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
心疾患の治療法として、ヒト多能性幹細胞由来の心筋細胞移植による心機能回復が期待されている。しかし、従来の心筋分化誘導法では心筋分化効率が低く、また誘導された心筋細胞の成熟度が低い、心筋細胞の向きがバラバラで配向されておらず筋収縮力が弱い、臨床応用に安全性の保証ができないなどといった欠点がある。本研究では、申請者らが安全な生体分解性配向性ナノファイバーを用いて、3次元・配列性構造心筋組織片を構築した。本申請では、マルチチャネル電極に融合したシステムにより、電気刺激などの物理的な手法を用いて心筋成熟度を促進する。さらにリアルタイムで電気生理信号と拍動の力を測定し、心筋組織片の機能を評価する。最終的に生体内の心臓組織と同等の高成熟度心筋細胞を組織化させ、移植へ応用する新規手段を開発する。すなわち、「安全・配向・成熟心筋組織片の開発」を目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の目標は生体内の心筋細胞構造を模倣する技術の開発である。実験進行状態は計画以上に進行している。具体的に、 (1)移植に適切なナノファイバーの材料の最適化について、複数な体内に分解できる適切な合成高分子・天然高分子の材料選択と表面処理によるナノファイバー作製条件を検討した結果、すでに臨床に応用されている高分子材料poly(lactic-co-glycolic acid) (PLGA)に選定された。この材料から作られたナノファイバー上で心筋細胞の接着実験と生存率実験を行った結果、心筋細胞に適合性がよいことを明らかとなった。 (2)心筋細胞に対するナノファイバーのパラメータの最適化を行った結果、心筋細胞に適切なナノファイバーの力学的特性(弾性定数・強度)・幾何学的形状(太さ)・化学的性質(組成)・表面状態(表面粗さ・表面構造・表面修飾)を見出した。心筋拍動力に応じたナノファイバーの弾力性も測定できた。つもり、心筋機能が向上するパラメータを見出した。 (3)昨年度、最適化された材料を用いて、心筋細胞を播種し、電子顕微鏡や免疫染色などの方法で調べた。その結果、心筋細胞がナノファイバーに沿って配向性を持つことを確認できた。特に、心筋特異的なマーカーと心筋細胞成熟と関係するマーカーの発現は予想以上著しく上昇されたことを明らかになった。 (4)ヒトES/iPS細胞由来の心筋細胞の正常な機能性を確認するために、マルチチャンネルマイクロ電極を用いて、細胞外電位変化を測定するを行った。従来の培養方法と比べて、3次元整列した心筋細胞の電気生理学機能は非常に高く、安定していることを分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、心筋細胞の成熟化を促進する技術および心筋細胞移植効果を向上させる移植技術の確立を行う。 (1) 昨年度、配向性構造が心筋細胞の成熟度を促進することを確認できた。今年度、さらに電気刺激の方法や、引っ張ったり、縮んだりのような力をかける方法などによって、未熟な心筋細胞をトレーニングさせ、細胞の成熟化を促進する条件を最適化する。(2)多能性幹細胞から由来した心筋細胞の成熟レベルを、成人型心筋細胞と比較解析し、配向性ナノファイバーと電気刺激での成熟化促進の効果を定量的に調べる。具体的には、遺伝子レベル(Microarray解析、Real-time PCRなど)、タンパク質レベル(免疫染色、フローサイトメトリーなど)、筋収縮力測定などの解析を行う。(3) 昨年度、計画以上20層以上のマチルレーア三次元構造を有することが確認できた。今後、複数の心筋組織片を重なって、さらなる厚みのある組織片の構築を行う予定。(4) 心筋細胞移植効果を向上させる移植技術を確立するため、マチルレイア心筋組織の構築出来るかどうかについて、多層組織片が重なり、結合する時間、拍動の同期性、生存率、栄養提供状況を調べる。必要な場合、血管内皮細胞や、成長因子、粘着剤などを導入する工夫を行う。(5) 昨年度、移植を実施するのは分担者先に心筋移植片の運送について、定温式(37℃)に決定した。さらに、心筋移植片の凍結保存法も開発する予定。(6)ナノファイバーは生体内分解性材料で使うため、移植を行う前に、in vitroレベルで材料の分解能、炎症反応、心筋細胞生存率などについて、検討する。(7)移植用小動物として心筋梗塞モデルラット・モルモットを使う。移植後、移植された細胞の宿主細胞との接着性、融合性、ナノファイバーの生体内分解程度、炎症反応などを確認するため、組織染色で確かめる。更に、長期観察して、心筋梗塞の回復状況を調べる。
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Research Products
(5 results)
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[Patent(Industrial Property Rights)] 組織片2015
Inventor(s)
劉莉、Junjun LI、南一成、陳勇、中辻憲夫
Industrial Property Rights Holder
劉莉、Junjun LI、南一成、陳勇、中辻憲夫
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
PCT/JP2015/079364
Filing Date
2015-10-16
Overseas