2016 Fiscal Year Annual Research Report
高電界下における水滴の共振振動を利用した帯電水滴生成法の研究
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15H03957
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
東山 禎夫 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50144209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 俊之 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (10282237)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細管電極 / 水滴 / 帯電微小水滴 / テーラーコーン / 除湿 / ナノ粒子 / 粒径分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は水滴から放出される帯電微小水滴を利用するために、細管電極先端に形成した水滴からの直流コロナ放電現象を明らかにするとともに、先鋭化した水滴先端から放出される微小帯電水滴の大きさを決定している要因を明らかにし、大きさを制御する方法を開発することをも目的としている。 これまで、数十ナノメートル領域の生成される水滴の粒径を測定するるシステムを整備し、水の導電率と生成される微小帯電水滴の数との関係を明らかにし、生成数は、先鋭化した水滴すなわちテーラーコーンが分裂する際の電流波形の波高値と密接に関係していることを確かめることができた。また、直流高電界下の水滴がコロナ放電を起こしているときの挙動を高解像度の高速度カメラにより鮮明にとらえることができ、電流波形との対応関係を細かくとることができた。結果として、電流波形の大きさの変化から振動運動をしている水滴の挙動を推測できることができるようになった。 28年度は、生成される微小帯電水滴の量を増加させるために、3種類の径の異なる細管電極(直径0.18、0.4、0.8mm)先端に水滴を形成し、高電界下におけるコロナ放電発生時の、生成粒子数と粒径分布を測定した。細管径0.4㎜を用いて生成したときの帯電液滴の数が最も多くなることが明らかになり、生成数を最大にする水滴の大きさが存在することが明らかになった。さらに、帯電微小水滴は大きさに応じた電荷量を持ち、運動エネルギーを持った帯電粒子であるので、その特徴を生かして、空気中の水分子を吸着する除湿性能を確かめた。相対湿度70、80、90%に調整した湿潤空気を4本の細管電極系を収めた放電槽に導入し、入口と出口の湿度変化から帯電水滴が捕獲した空気中水分を把握した。湿度変化は90%時に5%の湿度変化をもたらす性能を示すことをが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体的に、計画書通りに進んでいる。帯電粒子による除湿効果は相対湿度90%の空気に対して、4本の細管電極を使用しても5%の低下にとどまっており、さらに除湿性能を上げる検討を行ったが、この辺りが帯電微小液滴を利用する方法の限界に近いと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は最終年度であり、以下の項目について研究を行う。 1.窒素雰囲気中での水滴からの水滴放出と放電波形の観測 コロナ放電を極力抑えた状況下で、水滴の分裂による帯電微小水滴の生成条件を明らかにする。コロナ放電を抑えるために、窒素雰囲気中での分裂状態と水滴放出に伴う電流波形を確認する。この状況を実現するために、放電容器中に窒素ガスを満たし、窒素が多い雰囲気中で水滴の放出現象を明らかにする。水滴には放電で形成された硝酸イオンが多く取り込まれることが予測でき、硝酸イオンを多く含む液滴生成の可能性を探る。 帯電微小水滴による臭い成分などのエアロゾルの吸着効果 2.帯電微小水滴による脱臭効果について、28年度に使用した密閉空間を使用し、いくつかの臭い成分に着目し、脱臭効果を調べる。発生する帯電微小水滴の大きさや電荷量と脱臭効果の関係について明らかにする。
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