2016 Fiscal Year Annual Research Report
大量の再生可能エネルギーが導入された電力系統の革新的広域運用・安定化制御システム
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15H03958
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 明彦 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (30174866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 豊 東京都市大学, 工学部, 准教授 (50372537)
河辺 賢一 東京工業大学, 工学院, 助教 (60634061)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | WAMS / 電力システム / 再生可能エネルギー / 適応制御 / 安定性 / 蓄電池 / 系統安定化装置 / PMU |
Outline of Annual Research Achievements |
再生可能エネルギーが大量導入された電力系統において、広域で同時計測される電圧位相角、有効電力潮流のデータ群から定常時および外乱発生時に支配的な特定動揺モードを抽出し、そのモードに対する同期化力係数、制動力係数を数値計算上安定的に推定する手法を開発し、それらをもとに、運用者に簡易的に定態安定度を評価する手法を開発した。 また、それらのデータから、発電機PSSだけでなく、送電線に直列に設置されるFATCS機器の一つである可変直列コンデンサ(TCSC)も一緒にアダプティブに協調制御し、定態安定度だけではなく過渡安定度も向上させる手法を開発している。 次に、再生可能エネルギーが大量導入された電力系統をリアルタイムシミュレータに模擬・実装し, 太陽光発電と分散型蓄電デバイス(電気自動車含む)に対して周波数・電圧安定性向上のための制御指令を生成・送信し, 安定化制御の効果を実験的に確認した。システム全体の需給を計算するモデルと, 分散制御デバイスが接続される配電系統の局地的な潮流・電圧分布を計算するモデルをリアルタイムシミュレータに分担させ, 電力系統と配電系統を同時に考慮した統合制御手法の検証を行う試験環境を整えた。 最後に、系統事故時における過渡安定性解析のための蓄電池システムのモデリングを行い,蓄電池モデルを実装した過渡安定度シミュレーションツールを作成した。開発ツールを用いて,過渡安定性向上に寄与する系統側蓄電池の制御システムの開発を進め,シミュレーションによりその安定化効果を明らかにした。さらに,太陽光発電の連系インバータを利用した安定化制御システムと併せて適用した場合にも,互いに干渉しあうことなく安定化効果を得られることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の課題である広域系統の発電機端で計測されるオンライン実測データから特定の動揺モードを推定し、同期化力係数、制動力係数を数値計算上安定的に推定する手法を開発し、それらを用いて、簡易的に定態安定度を評価する手法を予定通り開発できた。 また、計測値からのモデリング, 制御方法の設計, 多数の制御デバイスの協調について研究を実施し, リアルタイムシミュレータを用いた研究も本格実施しており, おおむね順調に進捗している。IEDの納品が大学の事務手続きと輸入手続きにともない2016年11月末に遅れたが, 研究進捗には影響のない範囲としている。 系統事故時における系統側デバイスの利用が過渡安定性を向上させることを明らかにした他,太陽光発電のインバータによる系統安定化システムとの併用によって,より高い系統安定化効果が得られることを明らかにし,当初の計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、以下の点について研究を推進する。 1.発電機PSSだけでなく、変電所において送電線に直列に設置されるFATCS機器の一つである可変直列コンデンサ(TCSC)も一緒にアダプティブに協調制御し、定態安定度だけではなく過渡安定度も向上させる制御手法の効果をオフラインのディジタルシミュレーションで確認するとともに、リアルタイムシミュレータに組み込み、試験を行い実現可能性、有用性を検証する。 2.電力系統の潮流分布や周波数変動を模擬するリアルタイムシミュレータと低圧配電系統フィーダを模擬するリアルタイムシミュレータ, 2つのリアルタイムシミュレータに, IEDで模擬するFACT機器, 太陽光発電と分散型蓄電デバイスの実機を連携させる総合試験を実施することで, (1) 変電所のFACT機器が系統側の状態に応じてアダプティブに安定化制御に貢献できること, (2) 分散制御デバイスが配電系統に悪影響を与えることなく電力系統の安定化制御に貢献できること, を確認する。 3.系統側デバイスと再生可能エネルギー電源のインバータを協調した電力システムの過渡安定性の安定化手法の開発を引き続き推進する。本年度開発した広域計測データに基づく系統側デバイスの制御システムに対して、本年度は広域データ通信の遅延やデータ欠損が系統安定化効果に与える影響について明らかにすると同時に,それらの課題への対応策を検討し、当該制御システムをより実現可能なものに発展させる。
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Research Products
(17 results)