2017 Fiscal Year Annual Research Report
パルス電力技術を用いた両極性パルスイオン加速器の開発とパルスイオン注入技術の創成
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15H03961
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
伊藤 弘昭 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (70302445)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パルス重イオンビーム / 超極性パルス加速器 / パルスイオン注入 / 炭化ケイ素 / パルス電力技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代省エネルギー半導体デバイスの1つである炭化ケイ素デバイスの実用化・多様化に対応するため、デバイス作製過程において半導体の導電率を制御するイオン注入技術が必要である。本研究では、新しいイオン注入技術として高強度パルス重イオンビームによるイオンドーピングとアニーリング処理が同時に行うことができるパルスイオン注入法の実現に向けた知見を得ることを目的としている。そのためには、p型とn型ドーパント用の高強度パルス重イオンビームの発生技術の開発が重要である。 今年度は昨年度に引き続きイオンビーム技術の開発を行った。イオンビームの純度向上が可能な両極性パルス加速器において、パルス窒素イオンビームの2段加速、およびイオン種同定の確証を高めるとともにイオン飛程のビームエネルギー依存性を測定するために固体飛跡検出器の多段階エッチング法を用いて実験を行った。その結果、イオンビームが印加した両極性パルス電圧で2段加速されており、ビーム加速電圧に対応したイオン飛程が得られていることが確認できた。次に、得られたパルスイオンビームを半導体材料に照射した結果、イオンビームの熱付与効果により材料が高温になることが確認でき、超高速熱過程によるアニーリング処理に向けた知見を得ることができた。一方、イオンドーピングの効果はイオン電流密度が十分でないため検証することはできなかったので、次年度はイオン電流密度の増加に向けて装置を改良し、本研究の目的達成に向けて照射実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の遅れを取り戻すことができなかったが、n型・p型ドーパント用の高強度パルスイオンビームの特性評価を行うことができ、それらを用いてシリコンや炭化ケイ素材料への照射実験を実施し、基礎データを取得することができた。しかし、そのデータ解析の結果、パルスイオンビームの改良が必要なため計画していたp-n接合形成実験まで行うことはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本課題の目標であるp-n接合形成実験を行い、パルスイオン注入の有効性を検証できるように努める。まず、照射実験の結果から判明したパルスイオンビームの性能向上に向けて早急に装置整備を行い、半導体材料への照射実験が実施できる状況を整備する。それとともに効率よく半導体材料への照射実験を行うため、これまで得られた照射実験のデータを詳細に解析し、パルスイオンビームのパラメータの選定を行い、これまでの遅れを取り戻せるように実施計画を見直す。
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Research Products
(20 results)