2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03966
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳原 英人 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (50302386)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非線形電気磁気効果 / 磁壁構造 / スピネルフェライト |
Outline of Annual Research Achievements |
膜面垂直方向に磁化の容易軸を有する強磁性薄膜と,膜面内に磁化の容易軸を有する強磁性薄膜を接合させた界面に人工的に90度磁壁を導入し,膜面垂直方向にねじれたスピン構造を実現させ,逆DM効果を通じて非線形電気磁気効果の発現を目指している。 磁気異方性の主軸については,異なる2種類のスピネルフェライトの磁気弾性効果の差を利用して,2層間でその磁気異方性エネルギーの符号が変わることを前年度に確認した。ねじれたスピン構造実現のためには,異なる磁気異方性主軸に加えて,界面での磁気結合の存在が不可欠である。今年度は,界面において交換結合が生じていることを定量的に評価する手法として,磁気トルク測定による界面交換結合の評価方法を開発した。 2層の複合強磁性薄膜の磁気トルク曲線の形状を,それぞれの膜の磁化や磁気異方性,膜厚を与え,界面での交換結合エネルギーをパラメータとして非線形最小2乗フィッティングを行ったところ,合理的な大きさの界面交換結合エネルギーが得られた。磁化曲線を再現する場合と比べて,高磁場での磁気トルク曲線は単一ドメイン化している試料の情報のみを再現することとなるため,精度が高くなるものと思われる。 一方で昨年度に引き続き2層膜をもちいて,電界の有無,その極性を変えてMOKEを用いて磁化曲線の変化を調べた。いくつか期待していたような結果が得られているが,現時点では再現性に問題があり,目指している現象の確認には至っていない。今後より精度を高くして測定するために,被測定試料に適した波長の光を用いて測定可能にする必要が有ることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁気トルクによる界面磁気結合の評価を行った結果,十分な大きさのねじれが導入されていることを間接的ではあるが確認できた。また,MOKE装置の改善についてもその方向が見えたことから,上記のような判断をした。
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Strategy for Future Research Activity |
磁気トルクによる界面結合評価方法の確立は,本研究のみならず他の目的にも適応可能となる有望な手法である。最終年度は試料の最適化と測定装置の改善によって非線形電気磁気効果の検証を行うことに加えて,界面磁気結合の評価方法を確立することを目指す。
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Research Products
(6 results)