2015 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性半導体を用いた半導体スピンデバイスの研究開発
Project/Area Number |
15H03988
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
PHAM NAM・HAI 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (50571717)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 強磁性半導体 / スピンバルブ効果 / スピンダイオード / スピントランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)高キュリー温度強磁性半導体(Ga,Fe)Sbの実現:p型強磁性半導体(Ga,Fe)Sbの高キュリー温度化に向けて、結晶成長の工夫を行った。薄膜化などの結晶成長を工夫することによって、Fe濃度を25%まで高めて、世界で初めて室温を超えたキュリー温度 340 Kを実現した。 (2) 高キュリー温度強磁性半導体(In,Fe)Asの実現:n型強磁性半導体(In,Fe)Asのキュリー温度の改善に取り組んだ。高いキュリー温度を得るために、オフ半導体基板の上に(In,Fe)Asの結晶成長を行った。その結果、オフ角の増加につれてヒステリシスループの拡大が観測された。一方、MCDスペクトルのピークは、5 Kと300 Kいずれにおいても従来報告されてきた(In,Fe)Asのピークと一致しており、観測した室温強磁性は真性である可能性が高いことを示唆している。 (3)スピンダイオードの作製とと超巨大磁気抵抗効果の観測:p型に(Ga,Fe)Sbを、n型に(In,Fe)Asを用いた、共に強磁性半導体であるpn接合の構造をもつスピンダイオードを作成し、そのスピン依存伝導特性の評価を行った。その結果、20%程度の負の磁気抵抗効果と、500%を超える超巨大な磁気抵抗効果が得られた。20%程度の磁気抵抗効果は単純なスピンバルブ効果で説明できた。それに対して、500%を超える超巨大な磁気抵抗効果は、+8kGから-8kGまでの外部磁場の変化に対し2つの鋭いピークをもつ新現象であった。 (4)スピン電界効果トランジスタ構造の作製と波動関数制御による強磁性変調:波動性の強い(In,Fe)As量子井戸を含む電界効果トランジスタ構造を作製し、世界で初めて波動関数制御による強磁性変調に成功した。本実証によって、従来に磁性変調に必要とする面キャリア密度の変調量を2桁と大幅に削減し、超高速と超低消費電力の磁化スイッチング技術に応用できると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
n型強磁性半導体およびp型強磁性半導体共に室温以上のキュリー温度を実現した。さらに、強磁性p-n接合を作成し、非常に巨大なスピンバルブ効果(>500%)を達成した。この巨大スピンバルブ効果は金属磁性体をベースとしたトンネル接合の性能と並び、半導体スピンデバイスの実現に大きく前進させた成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)n型およびp型強磁性半導体の高温強磁性特性の最適化 去年度に達成した室温強磁性をさらに強化するために、結晶性成長の工夫を行う。n型強磁性半導体に関しては、オフ基板上のδドーピング技術を使って、高キュリー温度かつ高品質の膜を作成する。 (2)スピンダイオードにおける超巨大磁気抵抗効果の起源の解明 去年度に観測した超巨磁気抵抗効果(>500%)の起源を解明するために、温度依存性、バイアス依存性、印加磁場向き依存性など、系統的にスピン依存伝導特性の評価を行い、どのような条件下で巨大磁気抵抗効果が出現しているかを明らかにする。最終的に、巨大磁気抵抗効果の物理的な起源を解明して、デバイスの設計に応用する。 (3)スピンバイポーラトランジスタの作製とスピン依存伝導特性の評価 鉄系強磁性半導体ベースのn-p-n およびp-n-p 接合の結晶成長および半導体プロセスを用いて、縦型スピンバイポーラトランジスタの作製を行い、スピン依存伝導特性を評価する。磁化向きの書き換えによる電流駆動力の変調を行い、超高速不揮発性メモリ、ノーマルオフ論理回路、再構成可能な論理回路の基盤技術を確立する。
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Remarks |
H27年度の研究成果に関連した受賞歴: 1)応用物理学会スピントロニクス研究会第4回英語講演奨励賞 2)2015年先端技術大賞、ニッポン放送賞
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] Magnetization process of the n-type ferromagnetic semiconductor (In,Fe)As:Be studied by x-ray magnetic circular dichroism2016
Author(s)
S. Sakamoto, L. D. Anh, P. N. Hai, G. Shibata, Y. Takeda, M. Kobayashi, Y. Takahashi, T. Koide, M. Tanaka, and A. Fujimori
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Journal Title
Phys. Rev. B
Volume: 93
Pages: 035203/1-6
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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