2015 Fiscal Year Annual Research Report
クラウドセンシングによる自己組織型電波伝搬モデル構築に関する研究
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15H04004
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
藤井 威生 電気通信大学, 先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター, 教授 (10327710)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 通信方式 / コグニティブ無線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、有限の資源である無線資源を複数システム・端末で有効的に共有する際に、周波数共用性能を飛躍的に改善させるためのクラウドセンシングによる自己組織型電波伝搬モデル構築を目指して、以下を実現する。1.多数の端末をクラウド連携することで実際の無線環境を精度よく把握する技術の確立、2.連携して得た無線環境情報を元に場所依存の電波伝搬モデルを自律的に高い精度で構築、3.クラウドセンシングによる電波伝搬モデル化の実証実験により有効性と精度を確認する。 平成27年度はこれらの目標に対して、以下の研究を進めた。 1つ目として、無数のPeer-to-Peerリンクが分散的に混在するネットワークを対象に、各通信結果の情報を蓄積することで任意の送受信位置での電波伝搬特性を予測する手法を検討した。異なるリンク間の電波伝搬特性の空間相関に着目し、クリギング法を用いることで距離減衰およびシャドウイングによる伝搬減衰量を推定する手法を提案した。 2つ目として、通信状態が変化するプライマリ送信機が多数存在する環境下において、多端末の観測値をデータベースに蓄積し、観測値から送信機状態を識別する手法について検討した。観測値を時系列データとみて、通信チャネルの統計情報から観測値の確率分布を仮定し、隠れマルコフモデルを適用することで、通信機の状態変化を識別した。 最後に、多数小型端末をセンサーと見なし無線環境を収集するシステムを対象に、端末側で発生する誤差を含んだ観測情報をデータベース側で補正するキャリブレーション技術を検討した。誤差にはランダム性を有する誤差や端末固有のオフセット値を想定し、EM法に基づく反復法による多数端末毎の誤差を一括推定する手法を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した実装作業の一部について、利用する学習アルゴリズムをより精度の高いものに変更したことにより、計算機シミュレーションを再度やり直す必要が生じ、予算の年度繰り返しをお願いしたが、研究活動は想定以上に進捗があり、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
クラウドセンシングによる自己組織型電波伝搬モデル構築に向けて着実に基礎技術の研究開発を進めており、平成28年度には実験を伴ったより実用的な研究にも取り組み始めている。実証実験と理論検討両面から実際の電波伝搬モデル化に寄与できる研究成果を目指して継続的に研究活動を進める予定である。
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