2015 Fiscal Year Annual Research Report
超広帯域レーダのための偏波及び多重散乱波を用いた画像再現域拡大に関する研究
Project/Area Number |
15H04015
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
桐本 哲郎 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (10364142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木寺 正平 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (00549701)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 計測工学 / レーダ信号処理 / UWBレーダ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,超広帯域(UWB: Ultra Wideband)電磁波を用いた超分解能画像レーダ技術を開発する.室内計測等開口面積が制限される状況では,十分な画像再現域を確保できず,目標形状認識が困難となる.本研究では,「局所楕円体近似と偏波解析による画像領域拡大法」と「多重散乱環境を用いた見通し外センシング」を導入し,同問題を解決することが目的である. 本年度では,多偏波データを用いたRPM法による立体画像化における目標外挿法において,目標境界面の擬似Hessian行列に基づく適応的外挿範囲決定法を提案した.RPM法は目標境界点と素子位置を一対一に対応付けられる特徴がある.これを利用することで,RPM法で推定される境界点の素子移動に対する移動量を計算することで目標境界の曲率に関する情報すなわち二次の微係数の情報を得ることができる.これにより目標エッジ等を検出することが可能となる.さらに同行列の固有値解析により,当てはめるべき楕円の形をエッジ領域では小さく,曲率が小さな領域では大きくする適応型外挿法を提案した.数値計算による性能評価により,エッジを有する目標でも高精度に外挿が可能であること示した.また,粉塵環境下での人体検出を想定した高周波ミリ波帯における3次元イメージングにRPM法を拡張した.一般にRPM法では目標からの遅延時間分布を一括で処理するため,目標数が多い場合には処理時間が増大し,精度が劣化するという問題点があった.これを解決するため,ドップラー情報を用いた距離点の分離・クラスタリングを導入し,距離点を適切に絞り込むことにより,精度と速度の両方を改善させた.これにより各散乱中心位置にドップラー速度の情報を与えることが可能となり,人体の識別において有用な立体形状推定が可能となった.同特徴は従来のビームフォーミングや合成開口処理等では得られない特徴であり,独自性および有用性の高い技術と考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多偏波データに基づく画像化拡大手法に関して,従来の外挿法が有していた本質的な問題である目標端部領域(エッジ領域)に対する高精度外挿法を提案した.RPM法の散乱中心と素子位置の一対一対応を利用した目標曲率に関する特徴行列を計算し,その固有値分解によって目標表面曲率に応じた適応的外挿法を考案し,その有用性を確認した.これはさまざまな目標対するoverestimateまたはunderestimateを回避するひとつの方法であり,より複雑な目標形状に対する外挿精度を確保できる.これによって本課題の当初からの重要な問題を解決できることから,おおむね順調に進展していると判断する.また,人体部位の移動速度差を利用することでRPM法の画像化精度,速度を改善できることを示した.これにより各散乱中心位置にドップラー速度を割り当てることが可能となり,人体認識等に有用であることを示した.これらからも同課題は順調に進捗していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
以上の成果を踏まえ,今年度は室内等の多重散乱環境を想定した数値計算及びそれに関する予備実験を実施する予定である.多重散乱環境では一般に画像再構成において虚像が発生するためにより厳しい条件となるが,本課題の当初目的にあるとおり,多重散乱波は直接散乱とは異なる伝播パスを通るため,独立した情報を有し、これを積極的に利用することで画像再現域の改善,3次元速度ベクトル推定,分解能の向上が見込まれる.これを実現するためにはさまざまな課題をクリアする必要があり,難しい問題ではあるが,既に開発した二回散乱波画像化法及び楕円体による外挿法や多偏波データ学習を統合して同問題を解決する方法を考案する.
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Research Products
(13 results)