2017 Fiscal Year Annual Research Report
Digital signal processing for non-stationary signals via sampled-data control theory
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15H04021
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
山本 裕 京都大学, 情報学研究科, 名誉教授 (70115963)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | ディジタル信号処理 / サンプル値制御 / 非定常信号 / Wavelet展開 / 音響・画像処理 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度はこれまでのサンプル値制御理論による信号処理方式を活かし，オーバサンプリングと適切な重み関数設定により，ナイキスト周波数以上の正弦波に対してトラッキングが可能であることを示した．さらにこれを拡張して，複数のトラッキング信号や外乱に対する複合トラッキングや外乱抑制に対するロバスト設計が，多段階設計により可能であることを示した．これはナイキスト周波数の限界を超えるものであり，これまでのディジタル制御の限界を超える成果と位置づけられる．
さらに，昨年までに示された一般化サンプリングによる信号処理方式の基本設計方法を進めて，信号を受け取るプレフィルタがコンパクト台を持つ場合にフィルタ設計法を拡張することに成功した．現在成果を投稿中である．これらの成果を統合して，一般化サンプリング，一般化ホールドによる信号処理方式を一般的に展開することができ，Wavelet展開との関係もより明解に捉えることが出来るようになった．このコンパクト台をもつプレフィルタによる最適フィルタ設計アルゴリズムは，当初計画で構想したものであり，本研究計画の重要な成果に一つとして位置づけられる．今後はその画像診断や異常性検出などへの応用なども期待される．
またこれらの研究過程で，サンプル値制御系のシステム零点と連続系のそれとの関係が明らかになった．これによって線形サンプル値系の内部モデル構成とトラッキング性能の関係がより明らかになり，ロバスト設計のためのより明確な指針が得られた．現在その非線形系への展開などを検討している．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オーバーサンプリングと重み設定によるナイキスト周波数以上の目標信号追従あるいは外乱抑制問題はこれまでほとんど理論的に試みてこられなかったものである．一方これは，ハードディスクドライブの外乱抑制など，実用的には極めて要求の高い重要な問題であった．さらに複数の目標信号や外乱に対しても，多段階設計によって厳密なロバスト設計を可能にしたことの意義は大きい．これらはすでに学会発表をすませ，学術論文としての投稿を準備中である．
またこれらの成果を踏まえて，一般化サンプリングによるサンプル値ディジタルフィルタや信号受理過程でのプレフィルタがコンパクト台を持つ場合に対する一般化フィルタの設計手法を定式化し，その解を得た．これらは本研究計画の元々の課題であり，信号復元問題について従来の枠組みを超えて，非定常信号の処理とWavelet展開との関係に明白な進歩を示したものである．これらはより一般な枠組みのもとで，ダイアディックフィルタバンクに拡張可能と考えられ，さらなる展開が期待される．一般化ホールド関数のもとでのフィルタ設計法とともに，最終年度の課題としたい．
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| Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方向として，一般化サンプリングによる設計手法の確立を受けて，一般化ホールドによる設計手法の確立と，それによる具体的設計事例の集積，その評価を目指す．さらにコンパクト台をもつプレフィルタによるフィルタ設計の設計手法を踏まえてその具体的応用例に対する展開を目指す．これらは当初研究計画に沿ったもので，アップサンプリングによるトラッキングの成果も踏まえて，研究を進める予定である．このトラッキングについては，本研究を通して新たに発見された方向であり，これまで知られていなかったサンプル値制御の新しい応用の可能性を秘めている．これについて，より一般的な応用の可能性について研究を深めていく予定である．
またこの一般化サンプリング，一般化ホールドによる信号復元問題の最適フィルタ設計によって，Wavelet展開との関係もかなり明らかとなってきたが，これをフィルタバンクの場合に拡張し，それらの関係を明らかにすることも目標の一つとなる．
上記の研究過程で得られた方向として，非線形システムに対するリフティングの導入の可能性がある．これらは従来不可能とされて来たものであるが，零点あるいはゼロダイナミクスとの関係を含めて検討を進めたい．
音響画像処理に関しては，コンパクト台を持つプレフィルタによる信号処理に於いて，その局所性を活かして，画像処理や異常診断に対してどのような展開があり得るかを検討したい．
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