2015 Fiscal Year Annual Research Report
多様な人びとの健康に配慮したまちづくりのための熱環境の人体影響評価と改善提案
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15H04066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花木 啓祐 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00134015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀卦川 幸浩 明星大学, 理工学部, 教授 (20409519)
井原 智彦 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (30392591)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 都市環境 / ヒートアイランド / 熱中症 / 健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)街区熱環境が与える健康影響のモデル解析:街区規模熱環境解析のためのモデルとして世界で広く用いられている流体モデル(CFD)であるENVI-metを用いた。このモデルを本研究の目的に合致させて適用するための検討を行った。歩行及び熱環境が人体の体温、皮膚温、発汗に与える影響を実測し、人体生理モデルとして、年齢、性別、活動度による人間の相違を表現し、また非定常の遷移過程を表現できる既存のモデルのカスタマイズを行った。 (2)街区内での各属性の人びとの行動パターン解析:年齢(高齢者と非高齢者)、性別など、対象とする人間の属性によって行動パターンとその選好は異なるため、他機関によってなされた「国民生活時間調査」に基づき、検討した。緑陰と屋外運動、自動車に替わる移動手段としての歩行の際の暑さの自覚について、夏季に実態調査を行い、いかなる要因が暑熱感覚に影響を与えるかを検討した。 (3)メソスケール熱環境と街区熱環境の相互関係分析:メソスケールモデルに、鉛直1次元多層都市キャノピーモデルを独自に組み込み、更に街区気象条件に応じた建物空調エネルギー消費と排熱変動を推定する建物エネルギーモデルを実装する。都市キャノピー層の力学過程について、街区CFD解析との整合性に配慮した改良に向けて、検討を行った。 (4)街区熱環境と生理応答の解析:熱中症に関する疫学データの解析を進める。政府および地方自治体より人口動態調査死亡票および熱中症搬送データの個票を借用し、それらをより細かい気象データ(大気汚染測定局の計測値やメソ客観解析データ)と連結することで、より詳細な温熱環境と熱中症発症の関係を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題のうち、(2)街区内での各属性の人びとの行動パターン解析における暑熱感覚に関する実態調査については、当初平成27年夏に行う予定であったが、平成28年の夏に実施した。その理由は、この実態調査に先立って生活パターンの解析を行う際に、国民生活時間調査の新たな解析法が他グループによって示され、その利用の可能性を検討するために時間を要したためである。結果として、平成28年夏に実施した実態調査からは興味ある成果が得られた。 (1)街区熱環境が与える健康影響のモデル解析、(3)メソスケール熱環境と街区熱環境の相互関係分析、(4)街区熱環境と生理応答の解析については、おおむね予定に沿い、期待通りの成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に大きな変更の必要はないと考えている。それぞれの分担課題について、更に深めることが進めていくことが良いと判断する。
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