2016 Fiscal Year Annual Research Report
多層型人工湿地-微生物燃料電池の確立とその水質浄化同時発電特性および機構の解明
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15H04069
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中野 和典 日本大学, 工学部, 教授 (30292519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相澤 朋子 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (60398849)
渡部 仁貴 日本大学, 工学部, 教授 (80713338)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人工湿地 / 微生物燃料電池 / ろ材 |
Outline of Annual Research Achievements |
進捗が遅れていた研究課題2(ろ材粒径と有孔管からの距離による好気・嫌気的環境創出特性の解明)については、瀘床内の異なる深さの酸化還元電位(Eh)を測定するために17本のEh用白金電極を取り付けた円筒カラムに、所定濃度に希釈した下水汚泥と瀘材を均等に混合して投入することで17か所の異なる深さのEh値を明らかにできる実験装置を製作し、3種類の異なる粒径を有する瀘材(礫、砂利、砂)で得られる酸化・還元環境の比率を明らかにすることができた。研究課題4(好気的多層型人工湿地の水質浄化特性の解明)については、4層の好気的なろ床を有する人工湿地におけるOTR(BOD除去速度および硝化速度から換算した酸素移動速度)の解析結果より、100g-O2/m2/dayのOTRが達成可能なことを確認することができた。研究課題5(好気-嫌気ハイブリッド多層型人工湿地の水質浄化特性の解明)については、ろ材としてガラス造粒砂を用いた系において硝化と脱窒の双方が進行したのに対し、銅スラグを用いた系では脱窒が不十分となり、好気-嫌気ハイブリッド型人工湿地に用いるろ材の材質によっても水質浄化特性が異なることを示唆する結果が得られた。さらに、ろ材としてガラス造粒砂を用いた系と銅スラグを用いた系では、有機物の消費量あたりの発電量が大きく異なることが明らかとなり、研究課題6(好気-嫌気ハイブリッド多層型人工湿地-微生物燃料電池の発電特性の解明)の成果として、用いるろ材の材質によって発電特性も大きく異なることを示すことができた。ろ材による水質浄化特性および発電特性の違いは、ろ床内の電気産生細菌マイクロフローラの違いを反映していると考えられ、ろ材が電気産生細菌の選択的集積を促したことが推察された。現在、これを裏付けるための電気産生細菌マイクロフローラの解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に進捗が遅れていた研究課題2(ろ材粒径と有孔管からの距離による好気・嫌気的環境創出特性の解明)と本年度に計画していた研究課題4(好気的多層型人工湿地の水質浄化特性の解明)については、ほぼ計画どおりに成果を得ることができた。本年度と次年度に計画していた研究課題5(好気-嫌気ハイブリッド多層型人工湿地の水質浄化特性の解明)および6(好気-嫌気ハイブリッド多層型人工湿地-微生物燃料電池の発電特性の解明)については、ほぼ計画どおりに進捗している。一方、本年度に計画していた研究課題3(電気産生細菌の選択性に基づく人工湿地-微生物燃料電池に適したろ材(アノード素材)および有孔管素材(カソード素材)の選定)については、用いる排水に含まれる微生物の影響を排除する必要性が明らかとなり、人工排水での実験系で再度検討することが必要となったため、実験の遂行に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗が遅れている研究課題3(電気産生細菌の選択性に基づく人工湿地-微生物燃料電池に適したろ材(アノード素材)および有孔管素材(カソード素材)の選定)については、研究課題5(好気-嫌気ハイブリッド多層型人工湿地の水質浄化特性の解明)および6(好気-嫌気ハイブリッド多層型人工湿地-微生物燃料電池の発電特性の解明)と組み合わせた実験計画とすることで、スピードアップを図る。研究課題5および6については、当初の計画に沿って推進する予定である。
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Research Products
(4 results)