2015 Fiscal Year Annual Research Report
開口部と日射制御・潜熱蓄熱建材の最適化による普及型ダイレクトゲイン住宅の開発
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15H04085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前 真之 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90391599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 隆 東京理科大学, 理工学部, 教授 (30151608)
吉澤 望 東京理科大学, 理工学部, 教授 (40349832)
高瀬 幸造 東京理科大学, 理工学部, 助教 (20739148)
崔 榮晋 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (50740114)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 潜熱蓄熱建材 / ダイレクトゲイン / 太陽エネルギー / 近赤外域 / ブラインド |
Outline of Annual Research Achievements |
住宅において,冬期の快適性と省エネルギーを両立させる手法の一つに太陽エネルギーを活用するダイレクトゲイン手法が挙げられる。しかし、従来のダイレクトゲイン手法では床を蓄熱部位と期待して設計する手法が広く採用されているが、カーペット、家具等の配置により蓄熱が妨げられ、日中のオーバーヒートが懸念される。本研究では視環境に影響しない近赤外域日射に着目し、窓面での日射制御により可視域は床面に、近赤外域は天井面に導入し、天井を主な蓄熱部位としたダイレクトゲイン手法を提案する。蓄熱体には軽く、蓄熱容量の確保が容易な潜熱蓄熱材(PCM)を採用した。融解時の膨張対策としてPCM周りには空気層が設けられるが、天井材内であれば仕上げ裏側にPCMを密着させて活用できる。さらに熱抵抗の小さい天井仕上げ材を採用することでより効率的な蓄熱が可能である。既存の実大実験棟は大開口を有し内装が黒色であったが、室内仕上げ材の色や開口率を住宅に近い仕様に変更し、提案するダイレクトゲイン手法の日射制御手法と天井蓄熱の効率化について検討した。
近赤外域日射制御により天井蓄熱を行うダイレクトゲイン手法の温熱環境向上と暖房負荷削減効果について,実大実験棟における実測によって検討をし,以下の点について示した。 1)実験棟に敷設した潜熱蓄熱材の吸熱量及び蓄放熱量を把握した。近赤外域日射制御による天井蓄熱は効率的な蓄熱が可能であり、天井が蓄熱部位として有効であることが示された。 2)日射の制御方法及び天井仕様ごとの室温変動を把握した。窓面での日射制御で近赤外域日射を天井面に導入し天井蓄熱するダイレクトゲイン手法が日中のオーバーヒートと夜間の冷え込みの抑制に寄与しており、温熱環境向上と暖房負荷削減が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計測(潜熱蓄熱体の効果)とシミュレーション(潜熱蓄熱体のモデル化)両方計画通り、進捗されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、蓄熱容量や蓄熱材の敷設位置、内装仕様等の適切な実験棟仕様を検討し、それに伴う温熱環境向上と暖房負荷削減効果の把握を行う。また仕上げ色は変えず、近赤外域のみ吸収率を高める特殊な塗料を天井材に塗布した実験を行っており、さらなる天井蓄熱の効果が期待される。 PCM建材の実使用下での吸放熱特性を数値モデル化し、室温が快適域内で変動する場合の実効吸放熱特性を高精度に予測できる手法を開発する。また、実測と光環境数値シミュレーション(Radiance)を用い、開口部および日射制御部材を使用した際の室内光環境の予測手法を構築する。さらに、熱流体計算ソフト(SCRYU/Tetra、FlowDesigner)により、窓から日射が入射する状況下での窓ガラスや日射制御部材の特性を考慮し、空気室温および床・壁・天井の表面温度の分布状況を評価する。
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Research Products
(2 results)