2016 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能イメージングを用いた木材による人の心理生理反応とその評価方法に関する研究
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15H04090
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
東 賢一 近畿大学, 医学部, 准教授 (80469246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯田 則生 奈良女子大学, その他部局等, 名誉教授 (60016871)
久保 博子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (90186437)
東 実千代 畿央大学, 健康科学部, 教授 (10314527)
萬羽 郁子 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (20465470)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳血流量 / 脳波 / におい / 木材 / 放散物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度である昨年度、実験に際して必要な倫理審査の承認手続き及び機器類の購入を完了し、予備実験における実験プロトコルの確認を踏まえて9名の被験者に対して4種類のにおい提示条件で実験を行い、計画通り順調に研究を実施した。 今年度は、平成29年3月初旬に、申請者らの大学の健康な学生被験者12名(全員女性)に対して、におい提示なし及び4種類の木材パネル(天然乾燥スギパネル、中温乾燥スギパネル、高温乾燥スギパネル、中国製合板)(合計5条件)を提示した嗅覚負荷実験を行った。材料から放散される化学物質の測定を事前に実施した。合板からはホルムアルデヒドが高濃度放散され、スギパネルでは、天然乾燥など乾燥温度が低いほど、セスキテルペン類が特異的に放散され、高温乾燥になるほど、酢酸や長鎖アルデヒド類の放散量が増加した。これらの高温乾燥による放散量増加物質は、木材成分の分解によるものと思われた。におい負荷試験の試験材料としては、本研究の狙い通りであった。 人での評価については、機能的近赤外分光法(fNIRS)を用いた前頭前皮質の脳血流量測定、脳全体の脳波の測定、臭気強度や刺激感などの主観評価を実施した。また、全被験者に対してオルファクトメーターによる嗅覚検査を実施した。これらの実験を計画通りに順調に終了し、計画通りにデータを得た。脳血流量と脳波等のデータについては現在解析中であり、これらの主観評価や化学物質の放散量がどのように関係しているかを今後の解析で明らかにする。また、そのうえで、次年度の実験に反映させ、全体を総括して次年度にとりまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の9名・4条件のにおい負荷実験に加えて、平成28年度では、におい負荷を行う木材パネルの条件を変更させて5条件とし、12名の被験者でにおい負荷実験を実施した。使用する試験材料では、昨年度以上に放散される化学物質に特徴を付けることが可能となり、より充実したデータを得ることができたと考えている。すべて計画通り順調に進んでおり、今後のデータ解析に期待が掛かる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、2年間の実験結果のデータ解析(脳血流と脳神経、脳波、臭気等の主観評価結果、化学物質放散レベル)を踏まえて、におい提示における脳神経や脳波の反応に関する特徴を把握し、どの部位でどのような特異的な反応が生じているかについて、特異的な反応を生じた部位を中心に、より木材の客観的な評価に適した実験プロトコルや測定部位の検討(追実験)を実施する。また、これらのデータに関する総合的なにおい刺激に対する脳機能評価を行い、木材と化学系建材のにおい刺激に対するヒトの脳機能反応の特徴を明らかにし、快適性や健康に影響するヒトの臭感覚に対してより客観的な評価方法を提案する。
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Research Products
(9 results)