2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Spacial Plan and its Implementation in reconstruction Process from the Great East Japan Earthquake
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15H04092
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
姥浦 道生 東北大学, 工学研究科, 准教授 (20378269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 典子 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (20447345)
苅谷 智大 東北大学, 工学研究科, 学術研究員 (40750956)
三宅 諭 岩手大学, 農学部, 准教授 (60308260)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 復興 / 都市計画 / 土地利用計画 / 漁業 / まちづくり会社 / 開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災の津波で被災したエリアの復興過程について、開発許可制度に着目し、被災地における開発許可件数・面積の地域的増減傾向について明らかにした。ここでは特に、計画規制上の区域によって空間的に差異が見られること、また用途によって時間的に差異が見られることを明らかにした。これにより、被災後の都市空間変容の一端とその制度的要因が明らかになった。また、特に土地利用の需要の少ない低平地の土地利用の方向性について、参与観察も組み込みながら検討を行った。また、先行的に土地利用が行われると考えられる公共施設として公立小中学校に着目し、被災後の土地利用の分析を行った。 さらに、漁業及び漁業集落の復興に関して、岩手県沿岸で漁協の合併実績のある地域を対象に、行政および漁協にヒアリング調査を行い、被災および復興状況のデータから翌年には養殖設備の敷設が終了したこと、それにより漁業再開が早かったことなど漁協合併が漁業再開に影響していることを明らかにした。一方で、漁業権の区分については未だに解決されていないことも判明した。 中心市街地の再生に関しては、各地で中心市街地再生の中心的な担い手として設立が進められているまちづくり会社の実態と課題について、被災自治体を比較しつつ明らかにした。 以上のように、復興過程における空間変容の実態とその背景の一端を、中心部、市街地、低平地、漁業集落の各地域について明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究を通じて、以下の点が明らかになった。 被災後の開発は、都市計画白地地域を中心に大幅に増加していることなど、計画制度的条件から地域的に差異が見られること、また当初商業施設が増加し、その後に住宅系の開発が増加しているなど、用途によって開発時期に差異が見られることが明らかになった。 また、災害危険区域に指定されている漁村の中心部の土地利用について、管理の負荷も含めて緑地による土地利用のバリエーションに関するスタディに取り組んだ。公共施設の跡地利用については、そもそもの立地の課題が明らかになったと同時に、復興計画策定と同時に跡地利用を検討した場合、浸水エリアであっても有効な土地利用が実現されていることが明らかになった。 漁業センサスで定義する漁業集落および背後集落の区分が集落カード等の区分と一致しないことが多いこと、統計情報の整合性を図る基準がないことから、データの信頼性確認に時間を要している。しかし、行政も漁協のデータを基本とすること、震災後は漁協が低地利用の仲介をしている事例が多いことから、漁協対象にヒアリング調査を展開している。 まちづくり会社については、地域によって出資比率、事業内容、人員構成等に大きな差異が見られた。この点が、復興自体にどのように影響を与えるのかについては、今後のさらなる研究課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
被災地の復興過程における空間的変容に関しては、第一に復興初動期の建築規制の実態と課題について、開発状況と照らし合わせつつ明らかにしていく。ここでは特に、建築基準法第84条に基づく規制と復興推進地域指定に基づく規制が各自治体においてどのような背景のもと、どのようにかけられたのか、またそれによってどのような影響が開発・建築行為に現れたのか、について明らかにする。 また第二に、これまで取り組んできた、全域が災害危険区域となった漁村の中心部の土地利用について、住民、行政と協働で検討を進め実現化についてのスタディを行う。また、浸水エリア境界部の土地区画整理事業において、住民の意向の変化に伴う土地利用状況の変化を明らかにする。 また漁業集落の復興に関しては、引き続き、漁協が復興の中心となった地域を対象として、低地部跡地利用および漁業変化についてヒアリング調査を行う。また、岩手県沿岸12市町村の行政へのヒアリング等により漁集事業の成果と課題を整理し、今後の漁村計画への知見を得ることを目指す。
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Research Products
(14 results)