2016 Fiscal Year Annual Research Report
地域性と多重な主体の参入体制を組み込んだ応急仮設住宅供給・維持モデルの実践的構築
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15H04097
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
阪田 弘一 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (30252597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲谷 寿史 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (20243173)
新井 信幸 東北工業大学, 工学部, 准教授 (20552409)
牧 紀男 京都大学, 防災研究所, 教授 (40283642)
平田 隆行 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (60362860)
木多 道宏 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90252593)
岩佐 明彦 法政大学, デザイン工学部, 教授 (90323956)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 応急仮設住宅 / 南海トラフ地震 / 多様性 / 地域性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、公的な主体が多岐にわたる復旧・復興業務を完全には担いきれない状況が想定される災害時における、地域の人材や支援者そして資源を組み込んだ鉄骨プレハブ応急仮設住宅の供給・維持モデルを提案するという目的を達成するために、南海トラフ地震発生により甚大な被害が危惧される和歌山県広川町を実験対象エリアとし、①検討会の立ち上げと各主体による住環境改善手法の検討、②地域性と主体の多重性を組み込んだ鉄骨プレハブ応急仮設住宅の建設手法およびカスタマイズ手法に関わる実験、を進めた。 ①では、多様な改善主体および行政による検討会の立ち上げを行い、応急仮設住宅供給および改善の主体および内容、制度運用について、協議や立案の場をつくりだした。②では、公的な主体が多岐にわたる復旧・復興業務を完全には担いきれない状況を想定し、まずプレハブ建築協会所属業者主導による建設実験を先行して実施、施工経験のない者でも携わることができるような施工のプロセスやノウハウに関する情報や注意すべき点などについての知見を収集・マニュアル作成を進めた。次いで、地元業者および支援者による地元主導での建設実験をマニュアルをもとに実施、問題点の洗い出しとその改善方法を検討した。さらに、住性能面、経済面、生産面を鑑み、地域によりフィットすると考えられる内装のカスタマイズ手法の実装実験を実施し、住民・支援者らの実居住実験による心理的評価などを行った。得られた結果を基にして、検討会にて制度運用面も含めて本研究の目指す供給・維持体制を実現化するための協議を行い、事業スキームや供給・維持業務遂行のためのマニュアルの検討を進めるとともに、本年度の成果を取りまとめ学会発表にもつなげた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度については、昨年度の遅れを取り戻し、当初の計画内容に則した活動を進めることができたと考える。特に、地元業者による建設実験において、こちらの作成したマニュアルに基づき進めることで概ね施工可能であることが明らかになったことは有用な知見であった。一方、地域性に配慮した応急仮設住宅の内装に関するカスタマイズ手法の提案内容に関しては、地元住民から高い評価を得たとはいえず、内容のさらなる吟味が必要であることは今後の課題として残った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、被災者が退所した際に発生する大量の鉄骨プレハブ応急仮設住宅の地元業者の手による再活用手法の提案を目標に、恒久住宅または被災地に求められる他用途の建物への用途変更などの実装実験を進める予定である。その知見と今年度得られた結果をあわせて、制度運用面も含めて本研究の目指す供給・維持体制を実現化するための事業スキームや供給・維持業務遂行のためのマニュアル等の作成を進める。
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Research Products
(9 results)