2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of Formation Mechanism of Morphotropic Phase Boundary of Relaxor Thin Films based on Frustration of Coexisting Phases
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15H04118
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木口 賢紀 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (70311660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 雄介 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20756572)
山田 智明 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (80509349)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リラクサー / 薄膜 / 組成相境界 / 相安定性 / 境界構造 / ドメイン構造 / 局所弾性場 / 分極回転 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3(PMN-PT)緩和型強誘電体は、組成相境界(MPB)において巨大誘電・圧電特性を示すことから、大容量キャパシタ、アクチュエーター、エネルギーハーベスティングなど、電子・エネルギー材料として期待される強誘電体である。PMN-PTバルク結晶において最も巨大な誘電特性を発現する組成域を組成相境界MPBと呼びPT30-35 mol%と報告されている。統計力学的には、MPBとは擬立方晶相と正方晶相との間の化学ポテンシャルによって駆動される相転移の臨界点と解釈できる。薄膜状態ではこのMPB組成がシフトすることが知られている。本研究では、化学的溶液(CSD)法によって作製したPMN-PT薄膜においてPT60-80 mol%へMPB組成の巨大なシフトを見出した。この結果は、MPB組成使用する際、バルク結晶の基礎データを用いてはいけないと言う学術的にも工学的にも重大な結論を示している。 半整合界面における転位芯が生み出す局所的な面内圧縮歪み層が、T相の核生成サイトとなるとともに、転位芯上に局在した面内引っ張り歪み場と剛体回転場がT層内の90°ドメインの核生成サイトとして機能していることを明らかにした。厚膜やバルク結晶においては基板の弾性的拘束の寄与は無視しうるようになり、弾性的に自由な状態で組織形成が行われる。したがって、MPB組成の薄膜サイズ効果という現象は、この様な薄膜基板間の様々な弾性相互作用を介した帰結として発現する現象であることを微視的な組織形成メカニズムの観点から初めて明らかにすることができた。本成果に基づけば、基板種の選択だけでなく、複合化・積層化などによって、層間の格子ミスマッチ、熱応力など薄膜中の歪み分布を制御できればリラクサー、そして広く強誘電体材料のMPB組成の意図的な変調による組織制御、物性制御に展開できると考えている。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(13 results)