2015 Fiscal Year Annual Research Report
高精度物性予測基盤の構築と新規太陽電池材料の探索への展開
Project/Area Number |
15H04125
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大場 史康 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (90378795)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 博之 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50727419)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 第一原理計算 / 太陽電池材料 / 格子欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一原理計算による基礎物性,熱力学的安定性,格子欠陥特性の予測の高精度化により,太陽電池光吸収層材料の多角的かつ高精度な評価を可能とする理論予測基盤を構築するための手法の開発を進めた.具体的には次の通りである. 太陽電池の光吸収層材料の評価において,バンドギャップ,吸収係数,有効質量が主要な基礎物性となる.また,熱力学的安定性やドーパントおよび固有点欠陥により決定されるキャリア濃度の上限(ドーピング限界)も重要な指標となる.さらに,ヘテロ接合を用いたセルを想定した場合,他の半導体とのバンドオフセットの評価も不可欠である.そこで,これらの基礎物性,格子欠陥特性,熱力学的安定性を第一原理計算に基づいて高精度かつ系統的に算出する手法の開発を進めた.精確な理論予測を行うためには,電子構造の高い計算精度が要求される.密度汎関数理論の枠組みでの標準的な近似であるLDAやGGAを用いた第一原理計算では,バンドギャップや不純物準位の再現性が悪いため,ハイブリッド汎関数や多体摂動論に基づいたGW近似を適用した.また,ドーパントおよび固有点欠陥の計算では,欠陥間の静電相互作用を補正することで,計算精度を向上した. この手法を約600種類の3元系窒化物に適用することでスクリーニングを行い,有望な候補物質を絞り込んだ.また基礎物性の評価も進め,その結果も踏まえて希少元素を含まず,薄膜太陽電池光吸収層に適した特性を有する新規窒化物半導体を提案した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,理論予測基盤の構築のためのプログラム開発を主目的として研究を進めた.この手法のテストとして,特定の3元系窒化物にターゲットを絞ってスクリーニングを実行した結果,既知の窒化物半導体が的確に選定されることが確認できた.この結果から,本手法がすでに実用レベルであると判断し,新物質の探索へと展開した.これにより,新物質が複数見いだされるなど,最終目標である物質探索に関する具体的な成果が得られた.
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き,第一原理計算に基づいたスクリーニングによる候補物質の選定のためのプログラムの開発と応用,検証実験を行う.とくに,多数の物質の物性および安定性評価を効率的かつ高精度に実行するための手法の改善に注力する.また,まだ考慮していない3元系窒化物やリン化物に探索空間を広げたスクリーニングを行うことで,より多様な新物質の探索を目指す.
|
Research Products
(7 results)