2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H04128
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
稲熊 宜之 学習院大学, 理学部, 教授 (00240755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝又 哲裕 東海大学, 理学部, 教授 (90333020)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 極性化合物 / リチウムナイオベート型化合物 / ペロブスカイト型酸化物 / 陽イオン反発 |
Outline of Annual Research Achievements |
陽イオン反発を利用した極性化合物の創製と極性発現の理解を目指して、主に(1) 新規LiNbO3(LN)型化合物および、(2) 新規二重ぺロブスカイトの探索合成、(3) 元素選択による極性の制御および向上に関する研究に取り組んだ。 LN型化合物の探索を行い、高圧下においてLiNbO3型構造をもつPbZnO3の合成に成功した。高温高圧下でのin-situ X線回折実験により、この化合物ではぺロブスカイトを経ずに直接LN相が生成していること、また、構造解析の結果からPb4+Zn2+O3の陽イオン電荷をもつことが示唆された。さらにこの化合物は半導体的挙動を示した。また、LN型LiSbO3が高圧合成により得られた。この化合物は、第二高調波発生が観測されたことから反転中心をもたないことが確認された。 LN型酸化物は、室温近傍で極性構造を持ち高い自発分極を持つことがその構造から予想されているが、その高い自発分極と結晶化学的因子との関係は完全には明らかになっていない。そこで、自発分極と強誘電性相転移温度(TC)には相関があると考え、構造相転移温度を左右する結晶化学的因子を特定するため、TCが既知であるLiTaO3とコランダム関連型構造を持つ化合物、Mn4Ta2O9(Mn(Mn1/3Ta2/3)O3)との固溶体、LiTaO3-Mn(Mn1/3Ta2/3)O3を合成し、固溶量に伴うTCの変化、結晶構造の変化について調べた。その結果、酸化物イオンの最密充填層に対するLiイオンの変位量、deltaZA とTCとの間に相関があることが明らかになった。 さらに、以前当グループで見出した二重ぺロブスカイト強誘電体CaMnTi2O6と同構造をもつ化合物について高圧合成による探索を行い、新規化合物CaZnTi2O6を見出した。この化合物は、第二高調波発生から反転中心をもたないことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、MPaオーダーの圧力での合成も念頭に入れて研究を進めていたため、装置の導入を含む高圧合成に関する取り組みに時間を要したが、新規LiNbO3型酸化物および二重ぺロブスカイト型酸化物を見出すことができたこと、LiNbO3型固溶体LiTaO3-Mn(Mn1/3Ta2/3)O3の分極と結晶化学的因子との関係について新たな知見が得られたという点では順調に進んでいる。それぞれの試料の結晶構造解析や極性および強誘電性評価についてはまだ不十分であり、今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に新規極性物質の探索を続けるとともに、新規LN型LiSbO3および二重ぺロブスカイトCaZnTi2O6について構造解析および極性の評価を行い、極性と構造の関係を明らかにする。 LiTaO3-Mn(Mn1/3Ta2/3)O3については、高温高圧発生装置を用い、これまでよりMn(Mn1/3Ta2/3)O3が固溶した化合物を合成し、放射光X線回折実験を用いて詳細にその結晶構造を調べ、TCとの関係について検討する予定である。さらに、元素選択による極性の制御および向上を目指して、二重ぺロブスカイトCaMnTi2O6-CaZnTi2O6固溶体の合成と極性に関する研究に着手する。
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Research Products
(8 results)