2015 Fiscal Year Annual Research Report
自己接着性無機フィラー/ネットワークポリマーアロイ複合材の自己組織構造と機能発現
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15H04135
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
岸 肇 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60347523)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エポキシ / 相構造 / フィラー / 複合材 / 熱伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エポキシポリマーアロイをマトリックスとした無機フィラー系複合材料において、無機フィラーをマトリックス樹脂中に自己組織的に配列させるだけでなく、隣接無機フィラー接触界面を自己接着させる主導原理の構築に取り組む。エポキシポリマーアロイの自己組織化力に加え、フィラーが共存する複合材としての界面自由エネルギー最小化に向けた自己組織化推進力を活用した高次構造形成を目指す。さらには、もたらされた高次構造と熱伝導率や力学特性といった諸機能との関係を評価し、機能発現メカニズムを明らかにし、新規フィラー系複合材創出への指針を見出すことを目的とする。 H27年度は、芳香族ジアミン硬化エポキシ/ポリエーテルスルフォン(PES)ポリマーアロイ/アルミナフィラー複合材料の相構造と熱伝導率について検討を行った。複合材マトリックス樹脂としてエポキシリッチ相とPESリッチ相の両方が共に3次元的チャンネルを形成する組成を選択した。表面処理を行っていない無処理アルミナ粒子を添加した場合はアルミナ粒子がPESリッチ連続相中に選択配置されたが、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン処理アルミナ粒子の場合はエポキシリッチ連続相中に粒子が選択配置された。これらの形態はフィラー/樹脂間の界面自由エネルギーを最小化すべく複合系自らが選択した自己組織化の結果と言える。両者を比較すると、体積割合の小さいPESリッチ連続相中にアルミナ粒子が選択配置された場合に、同一粒子添加量における熱伝導率向上効果がより高くなることが知られた。狭い連続相中に粒子が配置されることにより粒子間距離が短くなり粒子接触の機会が増加するためと考えられる。 他方、接触粒子間を自己接着させる粒子表面処理方法についても検討を行った。熱伝導率向上効果については現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィラー添加複合材用のマトリックス樹脂組成検討およびフィラー表面処理検討の両面からのアプローチが概ね順調に進展し、ポリマーアロイ樹脂をマトリックスとするフィラー系複合材の内部構造の自己組織化について一定の成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.エポキシネットワークポリマーアロイマトリックス組成の自己組織的構造形成 (1)改質剤ポリマー分子構造の効果(2)ポリマーアロイ組成の効果(3)硬化触媒の効果 2.無機系機能性フィラー添加自己組織化ネットワークポリマーアロイ複合材形成と高次構造解析 3.隣接無機フィラー間の自己接着機能発現手法の探索
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Research Products
(4 results)