2015 Fiscal Year Annual Research Report
超々高強度フェールセーフボルトを用いたメカニカルファスニング
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15H04150
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
木村 勇次 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主席研究員 (80253483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 篤司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00362319)
鈴木 康夫 京都大学, 工学研究科, 助教 (50431698)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 構造・機能材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ボルトの力学特性に及ぼす素材の強度、変形特性の影響を明確するために、引張強度が1.6~2.0 GPaの超々高強度フェールセーフ(FS)鋼材を作製した。まず、100kg真空溶解で溶製した炭素量が0.2%~0.6%の2%Si-1%Cr-1%Mo鋼材について、物質・材料研究機構(NIMS)の材料創製・加工ステーションが保有する温間溝ロール圧延装置を用いてFS鋼を作製した。FS鋼材の超微細繊維状結晶粒組織は、光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法、電子後方散乱回折法(EBSP)により観察した。また、引張試験とシャルピー衝撃試験によりFS鋼が目的の強度×靱性バランス=290 GPa・J以上を示すことを確認した。 ついで、ボルト性能評価に用いるM12ボルトの首下長さ、ナットならびに座金の仕様を決定したうえで、FS鋼から約160本のFSボルト、ならびにナット、座金を量産試作した。量産試作したFSボルトのくさび引張試験を行い、ボルトが変形能を有し最高荷重に達する以前に破断しないことと、引張強度レベル1.6~2.0 GPaを示すことを確認した。 以上で得られた基本性能データを基に次年度に実施する接合要素実験の詳細条件(被締結体の強度レベル、組合せなど)を明確にした。 ボルトを支圧接合として用いる場合には、その抵抗機構はせん断力となるため、異方性材料であるFS鋼材のせん断変形挙動の評価も行った。せん断試験より得られた超々高強度FS 鋼の機械的性質と従来の鋼材の機械的性質を比較した。その結果、超々高強度のFS 鋼でも低強度の構造用鋼材と同様に最大せん断耐力はMisesの降伏条件に基づいて引張強度から算出でき,従来の設計法が適用可能であることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超々高強度フェールセーフ(FS)ボルトでは、強度を2GPaに上昇させると最高荷重に達する以前に早期破断する可能性も懸念されたが、接合要素試験が実施可能な靱・延性を有することが確認できた。また、ボルト頭部にひずみゲージ用の孔空け加工を施してもボルトの機械的性能に影響を及ぼさないことも確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
量産試作したFSボルトを用いて接合要素実験を実施して接合部性能を明確にする。ボルト単体の引張およびせん断変形機構の解明のための解析は継続して行う。以上からFSボルトに適したナット、座金、板の組み合わせと接合方法を検討する。ボルトを用いた接合型式にはせん断型と引張型があり、接合型式を分担して実大要素実験を実施し、接合部性能を明確にする。
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