2016 Fiscal Year Annual Research Report
グローブボックス不要の新規常温アルミニウム電析浴の開発
Project/Area Number |
15H04156
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平藤 哲司 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (70208833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 正男 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (60361648)
池之上 卓己 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (00633538)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | めっき / 非水溶媒 / 電解 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルミニウムの電析は,一般に不活性雰囲気下で行われるが,雰囲気として乾燥空気を使用できれば,コストの低下・操作性の向上が期待できる.これまでの研究により,アルミニウム電析が可能な有機溶媒の一つであるジメチルスルホン浴にある種の添加剤を添加した浴を用いると,乾燥空気中でも良好なアルミニウム電析膜が得られることが明らかとなった.しかし,電解浴は電析による使用の有無に関わらず,時間の経過とともに劣化し,良好な電析膜が得られなくなる可能性がある.乾燥空気中でのアルミニウム電析を実用化するためには,長時間の電析に対して浴の耐久性が求められるが,乾燥空気中での浴の耐久性に関する知見は乏しい.また,不活性雰囲気とは異なり,乾燥空気中には酸素が多く存在しているため,酸素が浴の劣化にどの程度寄与するかを調べる必要がある. そこで本研究では,乾燥空気中で同一の浴を用いて長時間の電析を行い,時間の経過によアルミニウム電析への影響を調べた.雰囲気中の酸素により浴中に形成する可能性のある酸化物の濃度を測定し,乾燥空気中の酸素が浴の劣化に及ぼす影響の程度についても調べた. 同一の浴に合計 100 h の通電を行ったところ,100 h を通じて外観が良好な Al 電析膜が得られた.100 h の電析で,電流効率は 94% 以上を維持し続けた. 長時間電析に使用した浴中の酸化物濃度の測定を行ったところ,建浴直後の浴中の AlCl3 濃度に比べて,浴中の酸化物濃度は無視できるほど小さいことが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乾燥空気中においても、最低100時間の浴の耐久性があることを実証できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまではジメチルスルホン浴を用いてアルミニウム電析を行ってきたが、他の非水溶媒浴についても同様の実験を行うことで、乾燥空気中において、より安定的にアルミニウム電析を行うことが可能な浴が見つかる可能性がある。そこで、ジメチルスルホン浴を用いた電析実験・解析によって得られた知見に基づき、乾燥空気中においてアルミニウム電析が可能と考えられる溶媒および溶質の組み合わせを数種類選定し、これらの浴に対して同様の試験を行う。これによって、乾燥空気の非密閉系において、より安定的にアルミニウム電析を行うことができる新しい電析浴を得ることを目指す。
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Research Products
(3 results)