2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H04174
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
喜多 英敏 山口大学, 創成科学研究科, 教授(特命) (10177826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊切 泉 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (20618805)
田中 一宏 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (30188289)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゼオライト膜 / 水熱合成 / 気体分離 / 浸透気化分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼオライト結晶骨格にSi成分が多く耐酸性のあるゼオライト膜の合成には高価な構造規定剤を用いる方法が一般的であったが、昨年度、我々はMFI(ZSM-5)およびRHOゼオライトの合成において、Fイオンを用いたゲル組成で構造規定剤を用いずにゼオライトを水熱合成できることを見出し、高温での構造規定剤焼成除去プロセスなしで、ゼオライト膜を作製できることを実証した。今年度は、MORゼオライト膜の検討を行なった。用いたFイオン源としては、フッ化ナトリウムのほかに、フッ化アンモニウム、フッ化カリウムなどである。Fイオン源の検討のほかに、合成ゲル組成における各SiおよびAl成分濃度、フッ化物濃度、水分濃度を変化させて原料ゲルを作製し、合成温度と合成時間を変えて細孔径の異なる多孔質支持体上にゼオライト膜の結晶化を行った。併せてゼオライトの結晶化の機構を明らかにするために、結晶構造、結晶組成の分析を実施した。以上の検討結果をもとに、多孔質アルミナ支持体上にMORゼオライト膜等を製膜した。作製した膜の構造を、XRD、SEM等で確認するとともに分離性能を評価できた。作成したゼオライト膜は、安定した水選択透過性を示した。特に、フッ化カリウムを用いて製膜したMORゼオライト膜は高透過高選択性膜であることが明らかになった。次年度はさらに、高性能なMOR膜の構造の詳細について検討するとともに、新規に二酸化炭素分離膜として期待できるCHA膜等について検討を行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Fイオンを用いたゲル組成で構造規定剤を用いずにゼオライト膜を水熱合成する本研究の目的に対して、平成27、28年度は、高温での構造規定剤焼成除去プロセスなしで、MFI(ZSM-5)、RHOおよびMORゼオライト膜を作製できること、ならびにそれらの膜が高い分離性能を有することを実証でき、おおむね研究は順調に進展している。RHOゼオライト膜では世界ではじめての合成例として、投稿した論文は日本膜学会から平成28年度の膜誌優秀論文賞を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27、28年度の成果を受けて、平成29年度は高性能なMOR膜の構造についてさらに詳細に検討し、合成条件を最適化するとともに、バイオエタノール醗酵プロセスや酢酸脱水プロセスで利用可能な耐酸性ゼオライト膜の評価をおこなう。さらに、新規に二酸化炭素分離に適用が期待されているCHAゼオライトなどの製膜を多孔質支持体(長さ10cm)表面にF存在下に構造規定剤を用いないで検討する。原料の種類と組成比、合成温度と時間、種結晶、支持体などの製膜条件を詳細に検討して膜の製膜条件の最適化と分離性能を明らかにする予定である。
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Research Products
(3 results)