2015 Fiscal Year Annual Research Report
毒性金属イオン除去プロセスを革新させる触媒プロセスの研究
Project/Area Number |
15H04179
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸田 昌浩 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60243903)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 壮 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10302936)
松根 英樹 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10380586)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 亜ヒ酸 / 酸化反応 / 白金触媒 / 水中酸化 / 環境浄化 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 反応機構-基礎的な反応データ取得 準備研究では反応量を定量出来ていなかったが,本補助金により誘導プラズマ発光分光分析装置(ICP)を購入できたお陰で,三価のヒ素(反応原料),五価のヒ素(生成物),および全ヒ素を個別に定量することができ,反応後数時間で原料である三価のヒ素が完全に消費されていること,また触媒への吸着量が全反応量に対して数%以内であることなど,反応に関する基礎情報をすべて得ることができた.ヒ素の物質収支の整合性も非常に高かった. 次に触媒担体の影響を調べた.チタニア,ジルコニア,アルミナ,あるいはシリカ担体に白金を担体した触媒を調製し,中性での反応試験を行った.本反応に有利な高pHで反応試験を始めたが,中性付近でも充分に反応が進行していることがわかり,その条件で実験を進めた.いずれの担体を用いたときも高い活性を示したが,特にジルコニア担体を用いた場合に最も高活性となった.しかし,ジルコニア担体とその他の担体との相違はそれほど大きくはなかった.ただし,アルミナ担体とシリカ担体は,高pH条件での利用が困難であるため,以降の試験ではジルコニアとチタニアを担体として用いることとした.また,白金粒子径の依存性について調べた結果,チタニア担体においては白金粒子径が小さいほど高活性となったが,ジルコニア担体では白金粒子径が触媒活性にほとんど影響しなかった.白金はチタニアと強い相互作用(SMSI)を示すことが知られているため,チタニアにおいてのみ白金粒子径依存性が表れると考えられた. ② 反応機構-鉄(Ⅱ)酸化反応との比較検討 Fe(Ⅱ)の酸化反応実験を行ったところ,反応率の反応時間依存性が亜ヒ酸の酸化反応の場合と類似していた.そのため一概に両者の反応機構が異なるとは言えなかった.したがって,この検討は平成28年度も継続して行って定量的に比較することとした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた実験をほぼ遂行することができた. 新規購入し誘導プラズマ発光分光分析装置での分析により,非常に精度の高い実験結果が得られ,準備研究ではわからなかった反応挙動を良く把握できた. 一方,正確な実験によって,準備段階で予想していた結果と異なる結果が得られた. そのことにより次年度に検討すべき事項が増えたが,実施計画に影響するほどではなかった.
|
Strategy for Future Research Activity |
亜ヒ酸の触媒上での水中酸化反応機構の解明に重点を置く方向性に変わりはない.しかし,水中反応は直接的な分析を非常に行いにくいため,2価鉄の酸化反応挙動との比較検討など,間接的な証明実験をできるだけ多く遂行したい.
|