2016 Fiscal Year Annual Research Report
固体表面における協同触媒作用概念に基づく不活性結合と不活性分子の活性化
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15H04182
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本倉 健 東京工業大学, 物質理工学院, 講師 (90444067)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 不活性分子 / フッ化物塩 / アリル化反応 / Pd錯体 / 固定化触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
不活性分子の活性化には、対象とする分子の特性に合わせた触媒活性点の設計が必要不可欠である。平成28年度の研究では、前年度までの研究で得られた二酸化炭素の活性化のためのフッ化物触媒の機能をさらに追及し、二酸化炭素変換において使用可能な還元剤の種類の拡張に成功するとともに、触媒反応を実際に進行させている活性種に関する知見を得ることができた。例えば、ケイ素-ケイ素結合の還元剤としての働きに着目することで、金属ケイ素を還元剤とする二酸化炭素の変換反応を促進することに成功した。 固体表面に強力な活性点を固定することによって、複数の活性種が関与する反応場の設計も可能となる。前年度の研究によってほぼ構造解析が終了した触媒である、C-H結合からのプロトン引き抜きが可能な強力な有機塩基DABCOとPd錯体が共存するシリカを用いて、種々の基質分子のアリル化反応を試みた。この触媒は、アリル化反応における従来の系と比較して、最も高い触媒回転数を示すことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの研究で見出した、二酸化炭素活性化のためのフッ化物触媒の機能をより引き出すことに成功し、併せて反応機構を解明することで、新たな触媒設計のための指針を立てることが可能になった。加えて、Pd錯体を用いる系では、C-H結合活性化のためのDABCOが共存した固定化触媒の開発に成功し、これを用いる高効率アリル化反応を達成した。以上の成果から、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究成果を受けて、二酸化炭素変換や有機合成反応における不活性化合物活性化のための指針をより明確にすることで、更なる高活性触媒の開発に挑む。加えて、固定化触媒を用いる協奏効果の発現に関する研究においては、いまだ明らかとなっていない触媒担体の構造特性が触媒活性・協奏効果に与える影響を調査する。
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Research Products
(23 results)