2015 Fiscal Year Annual Research Report
エレクトライド材料の水素吸蔵放出能を利用した水素化・脱水素触媒の開発
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15H04183
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北野 政明 東京工業大学, 元素戦略研究センター, 准教授 (50470117)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エレクトライド / 水素化 / ルテニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、C12A7エレクトライドの担体物性の制御を中心に検討し、その触媒特性を調べた。C12A7の還元条件を制御することで、電子濃度の異なるC12A7エレクトライドを合成し、その表面にRuナノ粒子を担持した触媒を用いて、アンモニア合成および不飽和アルデヒドの選択水素化反応を検討した。C12A7エレクトライドが絶縁体から金属的電気伝導物質に変化する絶縁体-金属転移点において触媒活性が大幅に向上し、反応メカニズムも劇的に変化することを明らかにした。また、C12A7のケージ内のアニオンがO2-イオンである場合と、電子である場合によってケージの歪み方に大きな違いがあり、それに伴う材料全体の結晶構造の歪みが電気伝導特性ならびに触媒活性に大きく寄与していることが明らかとなった。この内容は、学術誌(J. Am. Chem. Soc. 137, 14517-14524 (2015))に掲載された。またRuを担持したC12A7を不飽和アルデヒドの選択的水素化反応に用いたところ、電子濃度に依存して不飽和アルコールへの選択性が向上することを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
電子濃度を制御することでC12A7エレクトライド触媒の活性が向上することは予想していたが、反応メカニズム自体も絶縁体-金属転移点で大きく変化することは予想外の結果であり、今後の触媒設計に重要な知見が得られた。また、選択水素化反応においては、ケージ内への水素の取り込み効果が、選択的水素化に影響を及ぼすと予想していたが、ケージ内への水素取り込みは進行しないにも関わらず、C12A7ケージ内の電子濃度に依存して選択性が大きく向上することを見いだした。詳細な解析は、これからであるが、今後の研究を大きく推進する重要な知見が数多く得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、C12A7の骨格元素の一部を置換した材料の合成や、C12A7エレクトライド以外の新規エレクトライド物質の探索、さらにはエレクトライドを利用した他の水素化、脱水素反応にも展開する。
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Research Products
(9 results)