2015 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型高効率化学プロセスを可能にする新型ゼオライト触媒の創製と活性点制御
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15H04185
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
窪田 好浩 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30283279)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゼオライト触媒 / 活性点制御 / 環境調和型プロセス / メタノール / 低級オレフィン |
Outline of Annual Research Achievements |
MSE骨格構造を持つMCM-68ゼオライトが持つ酸点の量を調整することで,DTO反応において高いP/E比率でプロピレンが選択的に生成することを明らかにした。水熱合成したMCM-68ゼオライトに含まれるAlの量を制御すべく,種々の条件で酸処理を行い,酸点密度が異なる種々のMCM-68 ゼオライトを得た。これらを触媒としてDTO反応を行った。Alの量を制御することで,低級オレフィン(プロピレン,ブチレン異性体)の選択率が向上することやエチレンの選択率が低下することがわかった。特に,Alの量を調節することで,細孔の外部に存在する活性点が減少することを1,3,5-トリイソプロピルベンゼンとクメンのクラッキングにより確認した。また,エチレン生成に寄与すると考えられる強いブレンステッド酸点や,芳香族炭化水素・コーク生成に関わると考えられる強いルイス酸点が酸処理により優先的に除去されることを,ピリジンをプローブ分子としたFT-IR測定から明らかにした。また,2,4,6-Trimethylpyridine(コリジン)とCOをプローブ分子としたFT-IR測定によりMCM-68ゼオライトの酸点の分布を明らかにした。30 ºCでコリジンの吸着後,COを吸着することで細孔内部の酸点の量を計算し,次いで130 ºCでコリジンの吸着後,COを吸着することで10員環チャンネル存在する酸点の量を求めた。さらに,MCM-68ゼオライトにリン酸塩系の化学種を担持することでプロピレンの選択性,および生成物中のP/E比が向上することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)新型ゼオライト触媒を調製することができている,(2)酸点の量の制御ができている,(3)酸点の種類を区別できている,(4)細孔内および外表面酸点を区別して解析することができていることなどから,当初予定していた実施内容を全期間内にカバーする準備が整ったと言える。このことから,「おおむね順調に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
マクロスコピックな観点(サブミクロン・スケールでのゼオライト粒子内でのヘテロ原子の分布制御)では,硝酸・塩酸処理,リン酸処理,TiCl4処理などによって,主として外表面に位置する骨格内Al(=外表面酸点)の選択除去・被覆を行う。一つの手法では外表面酸点での逐次的な反応の抑制を達成できないことも想定される。これはそれぞれの手法を組み合わせることによる相乗効果で解決できると考えている。 ミクロスコピックな観点(ナノメートル・スケールでのゼオライト骨格内のヘテロ原子の分布制御)については、次の方針で進める。水熱合成時にB(ホウ素)を助剤としてAlとともに加えるとAl量が少ない場合でも所望のゼオライトが得られる。ゼオライトに取り込まれたBは酸処理により選択的に除去できるので,最終的にはBを含んでいない所望のAl含有量のゼオライトが調製可能である。またAl-B系では単位格子内のTサイトへのBとAlの取り込みが競争的に起こるので,Al単独の系で得られるゼオライトとはAlの配置が変化する可能性もあり,B添加合成はAl分布の制御のための手法の一つとなりうる。また有機構造規定剤を変えることでAl含有量(およびAlの分布)を変えることもできると考えている。
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Research Products
(11 results)