2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of method for predicting vibrations of underwater slender long structure considering whole vertical profile of current
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15H04211
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西 佳樹 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70470052)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 海洋資源 / 流体構造連成 |
Outline of Annual Research Achievements |
海底にある石油や天然ガスを洋上にまで輸送するために、海底と洋上とを結ぶ非常に長いパイプがある。物を上にあげるために用いられるのでライザー菅と呼称されているこの菅は長期間にわたって海水中に設置されるため、流れや波による影響で常に揺れ続ける。この揺れが継続すると、菅の材料に疲労が蓄積する。程度によっては菅の破損につながることがある。大規模な破損は海洋環境へ甚大な被害を与えるため、この菅の振動の程度を正しく予測し、それにより疲労破壊が起きるか起きないかを正しく判断できるようにしておくことが重要である。この点が平成27年度から着手された本研究の動機である。平成28年度に次に述べる2つことを実施した。(1)菅が周囲の流体から力を受けて振動する力学を理論的に記述し、その理論の解の性質を数学的に調べた。この調査の結果、流れから菅の構造が力を受ける作用と、菅の運動が流れに与える作用とが相まって、次第に振動が成長していくことを明らかとした。(2)海洋の中で起きる力学現象を、工学的に実用な可能な水準でシミュレーションのみで予測することは困難であるため、シミュレーション以外の方法、すなわち「計測」も利用すること検討した。真の情報が計測から得られたとき、それを統計学的に最適となる条件下でシミュレーションに取り込む手法を作り始めた。流体力を受けて振動する短い円柱を数学モデルで記述し、そこに計測から得られる真の情報を与えて、正確な情報取得が可能かどうかを調べた。その結果、注目している振動現象が本質的に非線形であることを考慮したうえで、統計手法を実装すると計測の取り込みがうまく進むことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載した項目をほぼ達成したため。本研究で注目している振動現象について、それを記述する流体と構造の理論式を立て、その理論の解を緻密に調べ流体構造連成の仕組みを詳らかにすることができた。また、シミュレーションと計測とを融合させる手法について、本振動現象の非線形性という性質を考慮した形で融合手法を構築することができた。 この2点は、研究計画に沿うものである。
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーションと計測とを融合される手法を、より現実的な問題に適用できるように拡張する。そのためには、(1)理論の整備、(2)数値計算プログラムの実装とを達成する必要がある。(1)については短期雇用する大学院生と共同で作業し、平成29年度夏季には完了させる。(2)については(1)の成果を土台として初めは研究代表者が単独で作業が進め、プログラム完成後は、短期雇用の大学院生とともにその動作を検証する作業を行い、平成29年度末までに結果を示す。
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Research Products
(2 results)